山陽本線で異世界の電車に乗ってしまった

カテゴリー「都市伝説」

先月18切符で東京から帰って来る途中に起きた出来事。

山陽本線は快速がないんだよ。
全て鈍行で岡山から下関まで7時間くらいかかる。

その間3回くらい乗り換えるんだけど、糸崎から岩国までの間、一時間半くらいあったから寝てたんだ。

どのくらい眠っていたのか、ふっと目が覚めた。

特にうるさい音とかもないのに何故か起きたんだよね。

電車は停まっていて一瞬「やべっ」と思って立ち上がったんだけど、外を見ると山間の無人駅みたいで明らかに岩国じゃなかった。

時間見ても到着予定時間まで15分くらいあったから違うなと。

駅名見ようとしてもそういう時に限って近くに表示板がない。
まあいいやと水飲んで目を瞑ったんだけど、数分経っても動かない。

アナウンスもない。

おかしいなと思って立って辺りを見回して初めて気付いた。

結構乗ってたはずなのに誰もいない・・・。

まだ夕方というには早いくらいの時間だったが、ちょっと怖くなった。

その時天井のスピーカーからズズズッとノイズが聞こえてきた。

「今から・・・・・・車内を・・・・・・回ります。切符の・・・・・・ない・・・・・・方・・・・・・捕まえます」

不明瞭な小声でアナウンスが聞こえてきた。

車掌の検札かと思ったがアナウンスの内容がどうもおかしい。
どうしようかと通路に立ったまま最後尾の車両だったが、前後を交互に見回していたら、前の遥か向こうの車両でこちらへ向かっている人影が見えた。

車掌かなと思ったがその直後にこの電車そんなに車両ないと気付いて背筋がゾワッとした。

降りよう。

席に戻りボストンバックを担いでよたよたと出入口へ向かった。

ちらっと前を観たら人影はまだずっと向こうで急いで出入口横のボタンを押した。

開かない。

また押した。

やっぱり開かない。

普通プシューと開くはずなのに・・・。

背後で小さくガタンと音がして飛び上がった。

もしかしてもう隣の車両まで来てるのか。

やばいやばいやばい。
ボタンを連打した。

相変わらず無反応。

またガタンと少し大きな音がした。

隣の連結部分のドアが開いたのか?
出入口はまだ開かない。

慌てて反対の端の出入口までよたよたと走った。

ボストンバックなんて下ろせばいいのに何故か離せなかった。

通路で振り返るのも怖くて出来なかった。
何とか反対側の端まで着いたときすぐ横の車両の入口が開いた。

いやそこはもう外だろ。

「今から・・・・・・切符を・・・・・・調べ・・・・・・まぁす」

嗄れた声が背中を這い上がってくる。
必死でボタンを連打した。

「ひぃ」と勝手に声が漏れた。

涎がだらだら垂れていた。

「お客様・・・・・・申し訳ありませんが・・・・・・切符を」

「ひゅっ、ひゅいいません。ちょっと、まず下りて」

振り向かずにボタンを押しながら叫ぶように言うと、ボタンの上の手を後ろから手袋付けた手がぐっと掴んですぐ耳の後ろで「そんな訳にはいかないですよ」と。

プシュー。
やっと出入口が開き始めた。

のろのろと開く。

「駄目だよ。逃がさないよ。駄目だよ。絶対駄目だよ。駄目駄目駄目駄目」

隙間から無理やり出ようとしてもボストンバックが引っかかって出られない。
半分体を出して「助けて!助けて!」と叫んだ。

一声叫ぶたびに世界が変わるような感覚に襲われた。

「やめろーー」

突然大声が聞こえていきなり出入口が全開になりホームに倒れ込んだ。

背中にボストンバックがぶつかって息が止まった。

「あんた何やってるんだ!」

スーツきたおっさんが駆け寄ってきた。

「おかしいと思ったんだよ。電車来てないのにふらふら出て行くから」
「え、あ、はい」

少しずつ思い出してきた。

乗ってる電車がこの駅まで着た時、何か不具合があったとかで降ろされたんだった。

電車は戻っていき、代わりが来るまで駅の待合室で待っていた・・・・・・はずだった。

おっさんに聞くと俺は15分前くらいに急に待合室からホームへ出て行ったらしい。
千鳥足で顔つきも不自然に強張っていたとのこと。

トイレもベンチもないのにと訝しく思っていた矢先に叫び声が聞こえて飛び出してきたとのこと。

「あんたここんとこ寝てないんだろ?夏バテだよ。気をつけないと」

白昼夢なのか何なのか。
駅員がいれば曰わくとかないか聞けたんだけど。

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