花嫁の中身

カテゴリー「都市伝説」

ルーマニアのある村で、結婚を目前に控えた花婿が死んだ。

葬式の後、花嫁と近所の娘が花婿の死体の側で番をすることになった。

花婿の死体は正装され、指には花嫁が贈ったエンゲージリングがはめられていた。

死体を見ているうちに花嫁はどうしてもそのエンゲージリングが惜しくなり、死体から奪おうとした。

しかしきつくしまったエンゲージリングはどうしても指から抜けなかった。

苛立った花嫁は花婿の指を切り落とし、指輪を奪うことに成功した。

「これ、娘。このことは黙っておいておくれ。その代わりお前には私の絹のドレスをあげよう」

「はい、お嬢様」

指の始末に困った花嫁は指をスープで煮込み、食べる事にした。

「これ、娘。このことは黙っておいておくれ。その代わりお前には私の新しい靴をあげよう」

「はい、お嬢様」

なんとなく気味の悪くなった娘と花嫁は死体から離れた部屋に移った。
それから少したち、夜も更けてきた頃、扉をとんとん叩く音が聞こえて来た。

扉と床の隙間からこっそり覗き込んだ娘と花嫁は仰天した。
何と、死んだはずの花婿が立っていたのである。

娘と花嫁は花婿が入ってこれないように部屋のかんぬきを閉め、さらに戸を押さえつけた。

しかし、花婿の力は強く、かんぬきは壊されてしまった。

娘と花嫁は体を必死で押し当てて花婿が部屋に入ってくるのを防ごうとしたが徐々に花婿の方が優勢になっていた。

花婿の目当てが花嫁一人だということを悟った娘は自分だけ逃げようとした。

「これ、娘。どうか見捨てないでおくれ。お前には今年私の庭で一番美しく咲いた紅いバラの花をあげよう」

「いやでございます、お嬢様」

「これ、娘。どうか見捨てないでおくれ。お前には紗の上等なテーブルクロスをあげよう」

「いやでございます、お嬢様」

「これ、娘。どうか見捨てないでおくれ。お前には紗の上等なテーブルクロスをあげよう」

「いやでございます、お嬢様」

「これ、娘。どうか見捨てないでおくれ。お前には百合の香りのする香水をあげよう」

「いやでございます、お嬢様」

こうして娘は逃げ出した。
花嫁は泣きながら必死で扉を押さえつけたがとうとう花婿は入ってきてしまった。

翌日、娘の死体が花婿の棺の傍らから見つかった。
花嫁の体からは臓物が抜き取られ、代わりにわらが詰め込まれていた。

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