短い都市伝説を2つ程。
■下の階の人
大学生の頃、友人のアパートで飲み会をしていた。
夜中の2時くらいに下の階でドタバタと大きな音がしてきた。
自分達が騒いでいたので下階の住人がうるさくて壁などを叩いて注意しているのだと思い、ベランダに出て下の階を覗いた。
電気は点いてないが物音だけが聞こえる。
私が飲み干した空き缶を潰し下の階に向かって投げると、友人たちも投げはじめゲラゲラ笑っていた。
しばらくすると音は止み静かになった。
それから私たちもいつの間にか寝入っていた。
翌日、外が何やら騒がしいので10時頃目が覚めた。
下の階に行くと警察官が沢山居て「なにかあったんすかー?」と聞くと「上階の方ですか?」と警察官は訪ねてきた。
私「そうですけど(遊びに来ているだけだが面倒なのでそこはスル-)」
警「何か変な音とか聞いてないですか?」
私「別に」
警「そうですか。この家の人が首吊って死んでるんですよ」
私はゾッとした。
夜中に聞いたドタバタする音は私たちに向けた音ではなく、首吊りの苦痛から壁や家具を蹴り回る音だった。
友人にこの事を話すと気味悪がっていたが、引っ越しはせず今も住んでいる。
■夫が消防士の家庭
深夜労働を伴う交代勤務は生活リズムが崩れがちで、重大な病気に罹るリスクが高いと言われている。
心への負担も大きく、精神疾患の発症率や自殺率も日中勤務者と比較して高いことが指摘されている。
交代勤務がある公務員と言えば消防士が代表例として挙げられ、どんな仕事でも言える話ではあるが、仕事内容や勤務形態が合わず精神を病む消防士は毎年一定数出てくる。
精神を病んだ消防士はなぜか自宅に放火するケースが多いと言う。
深夜、屋外からの物音と焦げくさい臭いで目を覚ました妻。
火事かと思い「あなた起きて!!」と、隣で寝ているはずの夫に声を掛けたが返事がない。
窓越しにそっと外を覗くとパジャマ姿の夫が居り、壁にもたれながれライターで家の壁に火を付けようとしていたのだった。
泣き叫びながら「あなた何をやっているの!?」と夫にしがみ付くと、我に返った夫は自分のした行為を理解して泣き崩れた。
夜が明けて夫を病院に連れて行くと、長期の休養が必要なこと、そして場合によっては転職をした方が良いという旨を医者から言われた。
聞くと夫はずっと我慢していたが今の仕事(消防士)は合っていないと感じていたらしく、精神的にかなり辛かったということだった。
夫婦で話し合った結果、退職届を出して治療に専念することにしたのだった。
実際には消防士でなくとも自宅に放火してしまう事件は起きており、消火という仕事柄ゆえに稀なケースが誇張されて伝わっている可能性があり、噂、都市伝説の域です。
消火と放火に因果関係があるのか?真偽のほどは定かではありませんが「あいつ頭がおかしくなって、自分の家に放火して消防辞めちまったんだよ。」
退職理由の真相として自宅放火の話が語られることはあるそうです。