盛り塩が効かない怨念

カテゴリー「都市伝説」

とあるビデオ屋兼ブルセラショップでの話。

店の2階にある使用済みの女性下着を扱うブルセラコーナーでは、人目に付かぬように部屋の四隅に盛り塩が置かれていた。
盛り塩は頻繁に起こる心霊現象を鎮めるために置かれていたのだが、その効果は一向に現れなかった。

店の2階では誰も居ないはずなのに陳列されているビデオが床に落とされていたり、深夜になると女性のすすり泣く声が聞こえるといった心霊現象が起こっていた。
そして2階では消臭剤を使用しているにも関わらずいつも微かな異臭が漂うようになり、それは血のような生臭いニオイであった。

ビデオ店で心霊現象が起こるようになったのは、ある女学生の自殺を契機としていた。

市内の高校で女子高生が飛び降りるという事件が起こったのだが、自殺したのは下着を売りに来ていた女の子であった。
パンツを売りに来る常連の中には様々な年齢層・職業の女性が居るのだが、自殺した女の子は毎月のように経血で汚れたパンツを売りに来ていたので記憶に残っていた。

おとなしそうな外見の割によくやるなあという感想を持っていたが、どうも自ら望んで下着を売っていた訳ではなく、不良グループから目をつけられて下着売りを強いられていたという話である。

自殺の動機はイジメであったという話であるから、下着売っていた理由は噂の通りであったのだろう。
経血で汚れた下着を毎月持ち込み、目線は隠しているものの商品に添えるために写真を撮られることは相当な屈辱であったと思われる。

その女学生の自殺から間もなくして、店では心霊現象が起こり始めたのだ。
彼女の怒りや怨念はイジメた不良グループのみならず、汚れた下着を売る店と購入しに来る男性にも向いたのであろうか。

その彼女の使用済み下着であるが、需要は高かったので棚から下げる前に全て購入されてしまっていた。

彼女の下着は既に店には無いが、無人の2階からは女性の声が聞こえたり、ラップ音が響き渡る怪異が続いた。
盛り塩やお札を貼っても効果は現れず、ブルセラコーナーからは陰気な雰囲気と異臭が相変わらず漂っていた。

彼女の怨念はブルセラコーナー一帯に染みついているらしく、主力の収入源ではあったが心霊現象に耐えかねてコーナーの全てを撤去してしまった。
撤去後は、陰気な雰囲気は拭われて怪異は収まったという。

ただ、彼女の怨念や悲しみが詰まった下着は今だ購入者の手元にあると思われる。
強烈な怨念がこもった経血付き下着、その所有者は果たして無事なのであろうか。

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