一晩の過ち・・・

カテゴリー「都市伝説」

世界大戦前の話である。
ある欧米人男性が旅行で中東の○○国を訪れた。

砂漠性の気候で酷く熱い昼下がりに、男はガソリンスタンドに立ち寄った。
その地域はレプラ(ハンセン病)の流行地域なのか、顔に覆いをした通行人や罹患した浮浪者をチラホラ見かける。
立ち寄ったガソリンスタンドの従業員もレプラ患者であった。

タバコをふかしながら「近くにレストランはないか?」と尋ねると、近くに欧米人が経営する大きなレストランがあると教えてくれた。

さっそく教えてもらったレストランに行くと、店のオーナー夫婦は男と同邦の人間であった。
オーナーとは意気投合して、この辺にはまともな宿が無いので良かった自宅に来ませんか?と誘ってくれた。

オーナー夫婦からはお金持ち特有の気品が感じられ、裕福そうな印象を受けたので、家も期待できると踏んだ男は素直に好意を受けることにした。

「店の営業は早めに切り上げますので、ディナーの時間に家に来て下さい」と、自宅の場所が書かれたメモを渡された。
約束の時間までは余裕があるので、男は近場を観光して時間を潰すことにした。

夜になり、オーナー夫婦のお宅に伺うと期待通りの豪邸で、料理も豪華な品々が並んでいた。

食事の席にはオーナー夫婦の娘も居り、年の頃は二十歳かそこらの非常に美しい女性であった。
娘が気になって、食事中に何度も彼女の方に視線がいってしまう。
なるべく気づかれないようにちら見していたが、ふとした拍子に目が合ってしまった。
すると娘は一瞬優しい笑みを浮かべ、目を逸らすこと無く挑発的とも取れる表情で男を見つめ返して来た。。。

食事中は娘のことで頭が一杯で、オーナー夫婦との会話は殆ど上の空。
男は娘に対して強い情欲を覚えて、食事中に何度も彼女の方を盗み見していた。

「では部屋を用意しておりますのでゆっくり休んで下さい」とゲストルームに通されると、旅の疲れから男は早めに床に就いた。

その夜、娘がどうにも気になって中々眠れずにいるとゆっくりとドアが開いて、戸口に誰かが立っているのが見えた。

娘さんだと!すぐに気付いた男は、戸口に佇む彼女を部屋の中に引きづり込んでベッドに押し倒した。
ベッドに押し倒して激しく口づけをしたが娘は抵抗しなかったので、男はそのまま彼女の体を一晩中貪ったのだった・・・。

朝目を覚ますと、娘さんは居なくなっており、どうやら自分の部屋に戻った様子であった。
朝食を囲む食卓で娘さんと顔を合わせたが、まるで何事もなかったかのような態度で男に接して来たので少し拍子抜けをしたのだった。

この年にして恥じらうことなく冷静に振る舞えるなんて・・・。
娘さんが魔性の女になることを確信した。

何よりも娘さんのあの美貌である。
朝にこうして娘の美しい顔をまじまじと見ると、夜の素晴らしい体験が鮮明に甦り体が熱くなるのを感じた。

朝食をとり終わり、オーナー夫婦に深くお礼を申し上げると、男は次の目的地に向かうためにオーナー宅を後にした。

途中で昨日レストランの情報を得たガソリンスタンドに寄って、昨日と同じレプラの従業員と立ち話をした。

あんたが教えてくれたお蔭でオーナー夫婦のお宅に宿泊できたよと、とチップを弾んだ。

「オーナーの娘さんがえらく美人だったよ」と話すと、従業員の男は「それは姉の方ですね」と教えくれた。

「姉妹なのか!?」と男は驚くと、「一人娘と思うのも無理はねえですよ。妹の方は重度のレプラで人前に姿を見せないんですから。」

男は夜のこと思いだしてぞっとした。
朝まで抱いたのはレプラ患者の妹の方だったのではないかと・・・?

ハンセン病が脅威であった時代の都市伝説で、性交するまでのシチュエーションは異なるが、暗闇で姿の見えない女性を抱いた後に予期せぬ事実を知るという話である。

巨匠ヒッチコックはこの都市伝説を最も恐ろしい話として評している。

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