ニホンオオカミは明治以降、人間や飼い犬からの病気の感染によってその数を減らして、今や幻の存在となっている。
一昔前にニホンオオカミとおぼしき動物が九州の山地で写真撮影されて新聞に載ったことがあった。
ニホンオオカミの専門家はこれを見て、「写真の動物はニホンオオカミの特徴がはっきり示されており、ニホンオオカミであると思わざるを得ない」とコメントをした。
後日、目撃場所付近に看板が立てられており、「あれはうちの犬(四国犬)です・・・」といった内容が書かれてあった。
この張り紙自体イタズラだとする専門家もいるが、大方は四国犬であるという見解で落ち着いている。
九州で撮られた謎の動物の写真であるが、ニホンオオカミの専門家ではなくて日本犬の専門家が見ればどう見ても四国犬で、年齢、性別、出産回数までずばりと言い当てられる。
ニホンオオカミの特徴と九州で撮影された四国犬の特徴がよく似ているとの専門家のコメントであったが、日本犬とニホンオオカミの区別は非常に曖昧なラインにあると言える。
分類学的知識を持たなかった中世の日本では、山の主的な日本犬のことを「オオカミ」と呼んでいただけで、ニホンオオカミがどんなものなのかはよく分からなかったともいわれる。
漢詩や漢文で出てくる狼という動物にロマンを感じた人々は、神々しさを感じる山に居る犬に対して「オオカミ(大神)」と名づけた・・・・。
つまりはニホンオオカミは元から存在しなかったという話もある。