人面瘡(じんめんそう)は人の顔の形をしたでき物で、酷い痛みを生じさせて、瘡が出来た人は日に日に弱って行く。
文献に登場する人面瘡は口に見える切れ込みに食べ物を運ぶと、人間のように口を動かして飲み込む。
そして、酒を飲ますと酔いが回ったように赤く染まったそうだ。
文献や伝承に出て来る人面瘡とは似ても似つかないが、出来るとラッキーな事が起こるという口内炎、ラッキー人面瘡についての噂。
三つの口内炎が密集して出来て、眼と口に見える物がラッキー人面瘡で、これが出来ると運が付いてギャンブルに大勝できるという話だ。
この噂は場外馬券場に入り浸り、その日暮らしをしている方々の間でジンクスとしてあった。
馬だけでなくて、麻雀やパチンコでもかなりの勝率で勝てるので、口内炎が治るまでは日雇いに行く必要がなくなる程に金回りが良くなるそうだ。
三つの口内炎は形が似ていることからニコちゃんマークとか呼ばれていたが、口の中に出来た人はギャンブルで大勝した後に病死したり自殺したりと、まるで運が尽きたかの様にこの世を去って行くので、気味の悪い人面瘡にかけてラッキー人面瘡というあだ名が付けられた。
ラッキー人面瘡の真偽の程は定かではないが、ギャンブルで大勝した後に亡くなった労働者の多くは、口の中に酷い口内炎を抱えているという。