あるサッカー部の恐ろしい話

C県はサッカーが盛んな県として有名だ。
ケンスケの通う中学校も、例に漏れずサッカーに力を入れていた。

ケンスケ達サッカー部員は、何とか強くなろうと練習を続けていた。
放課後から練習を始め、陽が沈んだ頃にランニングをこなす。

それでもケンスケ達のサッカー部は中々強くならず、春に行われた他校との練習試合で負けてしまった。
その負け方が悲惨だった。
キーパーをしていたケンスケの、単純な判断ミスによる失点が敗因となったのだ。

練習試合の後、キャプテンはキーパーの特訓と称し、ケンスケに100本のゴールキックを受けるよう命じた。

試合の事で、チームの全員がケンスケを恨んでいる。
少々ケンスケを痛めつけさせて、その気持ちを発散させてやらなければ、チームの和は保てないとキャプテンは考えたのだ。
これはキャプテンにとって苦渋の決断だった。
ケンスケとキャプテンは親友だったからだ。

ゴール前に立つケンスケに向かって、皆が怒りのボールを蹴り込んだ。
ケンスケの顔を目掛けてシュートを打ち、腹にボールを食い込ませる。
鼻に直撃したボールは、鼻血で汚れながら地面に転がった。
次第にケンスケの身体は痣だらけになり、立っている事も出来ないほどフラフラになってきた。

それでもキャプテンは試練をやめなかった。
自分が鬼にり、この問題になんとかケリをつけなければいけないと思ったのだ。
この特訓が終わったら、「もう恨みっこなしだ」と宣言しよう。

最後の球が蹴り込まれた。
ケンスケはよたよたと後ろに下がり、ネットに躓いた。
ネットがケンスケの指に絡まり、ケンスケが倒れると同時に、頭の上にゴールの枠が落ちてきた。
ゴンッ!! と鈍い音が響いた。
その場にいた全員が、突然の惨事を目の当たりにしたまま凍りつく。

我に返ったキャプテンと部員達は、ケンスケの元へ駆け寄った。
ケンスケの頭は血で真っ赤になり、じわじわと広がっていく血溜まりには白い脳漿が混じっている。
髪の毛の場所が明らかにずれており、頭蓋骨の割れ目が剥き出しになっていた。

この事故に教師達は大騒ぎをし、キャプテンは校長室に呼ばれて厳重注意を受けた。
知らせを聞いて学校に来た両親からも怒りを浴びせられた。

次の日。
ケンスケの死が全校生徒に知らされた時、キャプテンは茫然自失の状態だった。
虚ろな表情のまま黙祷を捧げ、HRが終わった後、教室を出てどこかに消えた。
そして翌朝、校庭の隅にあるトイレで、変わり果てた姿となって発見された。
ケンスケを死なせた責任で、首吊り自殺を図ったのだ。

この事件で、サッカー部は解散し、校庭からボールを蹴る音はしなくなった。

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