ある婦人が仕事から帰ると、飼っていた大きなドーベルマンが床に横たわり喘いでいた。
どうも呼吸が出来なくて苦しがっているようだ。
彼女はすぐにドーベルマンを車に乗せて獣医のもとに向かった。
しかし、獣医にも呼吸困難の原因がわからなかったので、犬が呼吸できるようにするために器官を切開し、喉にチューブを入れなければならないと言った。
そして、その手術は見るにしのびないものだと獣医は説明し、ドーベルマンを一晩預けて自分は家に帰ったほうがいい、とも婦人に告げた。
婦人が家に帰ると電話が鳴っていた。
電話は先ほどの獣医からだったが、獣医は慌てた様子で「すぐ家から出るんだ!隣の家に行って警察を呼びなさい!」と婦人に告げた。
獣医は婦人が立ち去った後すぐに手術を開始し、犬が呼吸困難になった原因を突き止めていた。
犬は喉に詰まらせた”ある物”のために呼吸困難になっていたのである。
犬が喉に詰まらせていた物は人間の指三本だった。
警察が彼女の家に到着し、血痕を辿って行くと、そこには犬に指を食いちぎられた泥棒が、無くなった指の付け根を抑えながらうずくまっていたという。