助けてくれてありがとう

高校生のとき教室で怖い話で盛り上がり、心霊スポットのさびれた神社にいくことになった。
当然メンバーに女子はおらず、男三人で行くことになったけどな。

夕方で、男三人いるということもあり、全然怖くない。

「やっぱり幽霊なんていないんじゃねえか」
「ちっともこわくねぇ」

・・・とか言いながら、歩いていた。

すると、木の陰から何かいるのか、パキパキと枝を折るような音が聞こえてきた。
動物だと思った俺たちはそっちに近づいた。
そこには、明らかに異形のものがいた。

足の数が8本ある、大きなイノシシの形をしてるんだが、人の顔がついている。
しかも何かブツブツ言っている。

俺は腰を抜かしてへたりこんでしまった。
ほかの二人も動けない・・・。

逃げ出すことが出来ない絶対的な恐怖だった。
間違いなく殺される、喰われて殺されると思ったそのとき、声がした。

A:「お化けさん、やめるのです」

同級生のAだった。

何でこんなところに?
何を言ってるんだ?

そう思ったら、イノシシに突っ込んでいく。
イノシシの顔が恐怖に歪み、すっと消えてしまった。

A:「あのお化けさんは危ないので、あまりここに来ないほうが良いのです」

そう言って、ひとりで帰ってしまった。

動けるようになった俺たちは逃げだし、Aとイノシシのことを「なんだったんだあれは?」「マジで怖い」とか言っていた。

Aは変な話し方をするから、みんなから軽く馬鹿にされていた。
俺たちもその日までまともに話したこともなかった。

次の日に初めて会話したんだが、俺たちがその神社に行く話を聞いて、危ないからと尾行してきたらしい。
イノシシは逃げ出したと言っていた。

イノシシが恐怖で逃げ出したのは間違いないと思うのだが、本人も理由はよく分からないようだった。

A:「お化けさんたちはわたくしを怖がるのです」

A:「わたくしは変な人だと思われるのは嫌だから、内緒にしておいて欲しいのです」

今回、思い切りばらしてしまったなwスマン
もう10年以上経つから、時効だろうw

そのあとは、Aとはほとんど話さなくなったが、馬鹿にすることはなくなった。
あんなのに勝てるAは普通じゃない。
正直、Aが怖くて近寄れなかった。

今は何をしてるんだろう?と思う。
ちなみにAは男だ。
相変わらず、あの話し方なら、高校生のときと同じように周りから馬鹿にされているかもしれない。

あの時はまだ若くて言えなかったけど、今なら言える。

助けてくれてありがとう。

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