自殺の名所での実体験

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

2年前まで僕は大阪府の中でも奈良よりの小さな市に住んでいました。

そこには大和川という大阪では淀川の次に有名で大きなが流れています。
その川の向こうはまた別の市、つまり大和川は市と市の境目となります。

川にはとても広くて長い橋がかかっています。
その橋は大阪外環状線にあり、交通の面でも車の行き来が激しい所です。
橋の下には大和川。

残念ながらここは自殺の名所としても有名で、毎年ここから身を投げる方が跡を絶ちません。

ある日のこと。
橋の下には6面ほどテニスコートがあり、僕は友人とテニスをしに橋に向かいました。

橋の手前に自転車を置き、歩いて橋の下に下りようとしたとき・・・僕たちの”後ろ”から女性の叫び声がしました。
その声に驚き、後ろを振り返ると、20代くらいで髪の長い女性が叫びながら僕たちの所に向かって走ってきます。

そしてこう叫びました・・・。

女性:「あそこを見てください!橋の真ん中!!女性が飛び降りようとしてます!!!はやく助けてあげてください!!!!」

そう言われて橋の真ん中を見ると、確かに女性がいました。
橋の真ん中から下の川を見つめ、靴を並べています・・・。

僕と友人はその光景を目の当たりにし、あまりの衝撃と同時に”助けなければ!”と言う思いで、教えてくれた女性にここにいるように伝え、全力疾走で橋の真ん中からまさに飛び降りようとしてる彼女のもとへ向かいました。

長い橋の真ん中に向かい、息を切らしながら必死で走る僕と友人。
彼女はそれを知らず橋の手すりに足をかけよじ上っています。

必死にたどり着こうとする僕と友人。
僕たちが追いつくかどうかで彼女の命が決まる。。
そう思うと今まで体験したことないほどの全力疾走になります。

でも、それに気づかずとうとう彼女は橋の柵に立ちました。

下をじっと見つめています。

間にあうか、手遅れか・・・。

彼女が意を決して飛び降りようとした瞬間!

落ちるギリギリで僕たちの手が届きました。
それでも足と体をバタつかせ、落ちようとする彼女。
必死で抱えて引き戻そうとする僕たち。。

やがて、なんとか道路側に彼女を引き戻した時は安堵の気持ちや恐怖で脚の震えが止まりませんでした。

オチはありませんが、今でも当時の記憶を鮮明に覚えている話でした。

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