金属製の箱を持ち帰った

カテゴリー「怨念・呪い」

これは俺の知人が体験したことなんだが、知人(以下A)が小学生の頃、親戚の葬式のために他の県まで行った時の話だ。

Aは夏休み中ということもあり、親戚の家に長期滞在(といっても3泊4日程度)する事になっていた。
滞在する予定の親戚の家は過疎化が進んだ町にあって、周囲には森や神社などの自然と古いものが多く残っていたらしい。

当時は携帯ゲームなんて気の利いたものは無いわけで・・・当然遊ぶ手段は外で体を動かすことに限られる。
でも知らない土地で好きに遊べるわけもなく困っていたらしい。
それを見かねたのか最初からその予定だったのか、親戚の叔母さんが近所の子供2人(小学生)と自分の孫(中学生)をAに紹介して遊ぶように促したんだと。

それでAは小学生の2人(以下BとC)と中学生(以下D)と遊ぶことになった。
生意気なBとCやお兄さんぶるDと遊んでみると何故か気が合ってすぐに仲良くなったそうだ。

親戚の家に泊まって3日目。
遊べるのも最後という日に、思い出を残したいとAが言った。
それを聞いたDは、良いものがあるとBやC含めて教えたんだ。

B、C、Dが住んでる町は東南から北西にかけて山に囲まれてるんだが、北東にある山の中の古い神社には縁の下を掘ると昔のお金(銅銭とか)が出てくるのでそれを記念にしようとのこと。
前日は弱い雨が降ってて地面が緩いから簡単に掘れるだろうし、珍しい物だから俺も欲しいとそういうことらしい。

乗り気になったABCはすぐに支度をして自転車に乗って神社には向かって移動した。(AはDのお古の自転車を使ったらしい)
神社までの山道は以外と整備されてて通りやすく、側には小川が流れてて綺麗な光景だったそう。

自転車で20分くらい走るとボロい鳥居と神社が見える。
小川は神社の中にも繋がってて、池みたいな水の溜まり場と小さい滝があって神聖な感じだったらしい。
まあそんな事は気にせずに4人は早速スコップを持って縁の下を掘り始めた。

すると5分も掘るとお金が結構出てくる。
1人あたり3枚ほど手に入れたところでAがおかしなことに気がついた。

当然、神社の縁の下には地面に柱が伸びて突き刺さってるんだが、真ん中の柱の周りだけが何故か陥没してたんだと。
Dも今までそんな事は無かったと言ったが、雨で地面が緩いからそうなったんじゃないかって話してた。

BとCが「そこを掘ってみよう!」と言いだして掘り出すと気にはなっていたAとDも一緒になって掘り始めた。

陥没してたところは個人用の防空壕みたいな作りになってて、以外と広い。
ただ雨の水分のせいかジトッとしてた。

穴の奥には錆びた金属製の箱があって、中にお宝でも入ってるんじゃないかとDがその箱を上に引き上げた。

縁の下からも出て、改めて箱を観察すると高さ縦横が10×10×20くらいの小さい箱で、4本の足のうち一本は欠けたのか無くなっていたと。

『********』と何か書いてあったが殆ど読めず、興味も無かったので開けようとした。

鍵がかかっている様子は無かったけど錆びてしまって開かなかったのでスコップで無理やりこじ開けたらしい。

中には紅白の布が敷いてあって、カタツムリの殻と干からびた蛇の死骸?が入っててそれを覗き込んでた4人はガッカリしたらしい。

でもCが自分の近所の家にそういうよく分からない物を集めてるおじさんがいるから持って帰ってお菓子かなんかと交換してもらおうと言いだした。

AとDは君悪がって反対したが、BはCに賛同し結局押し負けて持ち帰ることになった。

Dの自転車のカゴに箱をいれ、銅銭などはBが巾着に入れると4人は神社から出て町に帰った。

4人は家に帰らずそのままCの言ったおじさんの家に箱を持って行った。
おじさんは他所の町から来た人で、元は会社のお偉いさんだったらしい。
骨董品やら珍しい物やらを集めて静かに眺めていたいということで引退後に引っ越して来たと聞いた。

おじさんは箱を見つけた経緯を聞くと眉を顰めていたがやはり気になるらしく、箱を眺め始めた。
開けたり閉めたりひっくり返したりするうちに気に入ったのか、譲ってくれと言ってきた。

AとDは最初からその気だし、BとCはお菓子をせしめたりして満足していたので譲って自分たちは帰ることになった。

銅銭は全員に同じ数だけ分配して、各自の家に帰ることになった。
AはDと帰る家が同じなのだが、2人の間に会話は無かった。

家に帰るとDはAを自室に連れ込んで話をしようと言いだした。
Aも箱のことを不気味に感じていたのでにもなく頷いた。

AもDも怖くなったので風呂や食事も共にして、夜も同じDの部屋で寝ることになった。
叔母やAの両親はDと離れるのが辛いのだろうと快諾した。

夜、AもDも言いようのない不安さを感じていたので寝ることが出来なかった。
窓から月明かりだけが差す静かな部屋の中で2人はジッと黙っていた。

・・・すると不意に外から「ズルっ、ズルっ」と音が聞こえ出す。
なにか滑りにくい物を無理やり引きずったような音がしたそうだ。

Aは布団を頭まで被って目を閉じたが、Dは恐る恐る窓に近づいて外を見て、そして固まった。だがすぐに動き出してAを小声で呼ぶ。

Aは恐々しながらDに連れられて窓から外を見たんだと。
すると外には大きな殻(甲羅?)を背負った真っ白い大蛇が!!

全長は尻尾が途中で見えないので分からないが顔だけで自動車くらい大きかったらしく、全身がヌラヌラと滑っていたと。
大蛇は窓から覗いているAとDをチラッと見ると何事も無かったかのようにスッと消えたらしい。

2人は安心感より先に背筋が凍ったような不安を感じて倒れ込むように布団に横になりそのまま寝てしまった。

朝起きると2人は着替えだけしてすぐに家を飛び出してBとCの様子を見に行った。
すると、顔を真っ青にしたBとCが出てきて思わず抱きついた。

2人はうわ言のように、「蛇が!!」とか「水が!!」、とか言っていたが実際に直接何かされた訳ではなく幻(夢?)のようなものを見せられたと言っていた。
そして大きなことを背負った真っ白い大蛇も見たらしい。

4人は昨日箱を譲ったおじさんの家にも行った。
呼び出しをしても誰も出てこないどころか家全体がぬめっている気がする。
扉を引いてみると、鍵はかかってないのか簡単に開いた。

だが、扉があくとヌラヌラした液体(ローションみたいなものらしい)が流れてきて、家の中まで水浸しになっていたらしい。
おじさんは家のどこにもおらず、昨日譲った箱もどこにも無かった。
町の人も異常に気がついたのか大捜索が始まったが、結局おじさんも箱も見つからなかった。

4人は町の人に何をしたのか聞かれ、全てを答えた。
すると、町長が話を聞いて卒倒した・・・。
そしてそのまま土下座して誰かに謝り始めた。

町長:「ミズガミ様申し訳ございません。申し訳ございません申し訳ございません申し訳ございません・・・・・・・・・」

こんな感じだったらしい。

4人は正気になった町長と親に手を取られ神社に再び向かうことになった。
町長と親は鳥居をくぐらず、4人だけで神社の縁の下に言って謝ってこいとのこと。
4人とももう完全に恐怖で震えていたが、町長の必死の形相や親の怒り顔が怖く渋々縁の下に入って謝ることに。

縁の下に入ると、昨日の穴がそのまま残っているだけど、穴の周囲にヌラヌラした液体が大量にあってそこに数えるのも馬鹿馬鹿しいほどのカタツムリがいたらしい。

そして穴の中には昨日町に持ち帰ったはずの箱が変わらない様子でそこにあったと。
背筋が凍り、ゾッとした4人はパニックになったように謝ると転び泥まみれになりながら縁の下から這い出して急いで鳥居をくぐって外に出た。

振り返ると縁の下からは真っ白い大蛇が顔を出して4人を見ていた。
大人たちには見えなかったのか、Aたちは色々と叫んでいたらしい。
そこでAは気を失って詳しい展開はここまででよく分からない。

だが後に聞いた話によるとあの蛇は「ミズガミ様」という昔の土地神なんだそうだ。
自分の御神体(金属の箱に入っていたもの)に危険が加わると加えた者に制裁を与えてまた引きこもるらしい。

5年に一度神社でヒッソリと供養?を行うだけで町は水害に襲われたことはないと。

比較的温厚な神様で良かったが、これが違う神様だったらどうなっていたかは分からないらしい。

それと箱を譲ったおじさんは神社の中の池で発見され、そのまま意識は戻っていないらしい。

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