つい先日、叔父さんが亡くなった。
叔父さんは、戸隠(とがくし)という山間に住んでいた。
顔を合わせたことが1度しかなかったので、特に悲しむでもなく車でお通夜に向かった。
その途中、「○○花橋」という赤い橋がある。
その橋は、戸隠に向かう途中にあるので、山間を繋ぐ橋であり、橋から地面までの落差は数十メートルある。
車内には、妻と子供が乗っており、後部座席で会話や歌を歌っている。
その橋に差し掛かった時、ふと「この橋ってすごい高いけど、飛び込んだ人とかいないのかね?」と、後部座席の妻に聞いた。
すると、女性の声で『いるよ』と一言返事が返ってきた。
しかし、後部座席の妻は、子供と相変わらず遊んでいる。
今度は「おい!」と声をかけると「えっ、なに?」と返事をした。
「いや、なにじゃなくてさ・・・」と、こちらが返答に詰まる。
なぜなら今の返事から察するに飛び込んだ人の件は聞こえていなかった可能性が高いからだ。
しかも、『いるよ』という返事は、耳元で言われたかのように、聞こえた。
子供と遊んでいる妻が身を乗り出して、耳元で言うということはありえない。
という事は・・・。