首を吊っている人?

カテゴリー「心霊・幽霊」

ワイが小学生やった頃の話や。

ある夏の日の小学校の教室でのこと。
夏空の日のもと、窓の外には住宅街と畑、そして小さな山の原風景が広がっとった。
ワイは小学2?4年生で、たしか三時間目くらいやったやろか。
いつも通りに授業を受けとったんや。
そしたらあるクラスメイトが大きな声でこう叫んだ。

「窓の外、むこうの山に首を吊っている人がいる」

教室は騒然。
クラスメイトたちは、叫び声をあげて怖がったりしながらも、窓の方へと、ベランダの方へと殺到や。
教師が静止するも効果はなく、他のクラスからまでもどんどん人が集まってくる。

そして・・・。

「あれだよね!?」

「うわ、マジじゃん」

「えっどこ・・・うっわあれか」

とまあこんな感じに、首吊っている人を見つける奴はどんどん増えて、おおよそ半分くらいの奴らが見えた見えたと大絶叫。
中にはどこからともなく双眼鏡を取り出してガン見して、びびりまくる集団まで現れた。

その時、ワイはというと、興奮半分疑い半分で窓の外に視線を走らせとった。
そして、じーっくりと山を眺めたワイは見てしまったんや、山の緑から不自然に主張する白いソレを。

その後どうにかこうにか教師が騒ぎを収めて、だいたい一時間後くらいには学校は平静を取り戻した。

せやけど・・・そんな妙なことがあったら、やっぱり気になるやんか。
ワイが見たのは白い”何か”は本当に人やったのやろか?そのあたりから疑わしい。
めっちゃ気になる。

そんなわけで、ワイは、友達と一緒に見えたと言った奴らに、見えたものの特徴と、見えた場所を聞きまくったんや。
そんでまあ聞き込みの結果は、白っぽいものが見えた、そして、見えた場所はワイがその白い何かを見た場所とだいたい同じ、というものやった。

そうとなればやることはただ一つ、白いソレの正体の特定や。
そして若干傾いた陽の中、ワイと友達は、じーっと白いソレを眺めた。
ひたすら眺めた・・・。
そして、ワイと友達の出した結論は、「白のスズランテープ」

ワイと友達は笑いあった。

「やっぱりそうだよな」

「人やなかったんや」

冷静になって眺めると、ソレは風にゆれる細い紐、みまごうことなきスズランテープ以外の何物でもなかった。
実際その後に、首吊り自殺があったという話は一切聞かなかったし、今でもワイはあれはただのスズランテープやったんやと信じとる。

でもな、この話には一つだけおかしなことがあるんや。

ぼんやりとしかソレを見えなかった奴らが、首吊り死体やと思って騒ぐのはよくわかる。
小学生やから、周りの騒ぎの雰囲気に流されて、ただのスズランテープを死体やと思い込んでまうのも無理はない。
せやけど、ソレを、ぼんやりとではなく、はっきりと見た奴が、数人だけおったはずなんや。

そう、双眼鏡。

双眼鏡を持ってた奴らは、ソレを拡大してじっくりと見とるはずなんや。
拡大したら、ソレの正体はスズランテープやとすぐに分かるはず。
それなのに、双眼鏡を持ってた奴らはマジビビリしとったんや。

双眼鏡越しに、奴らは、何を見てしまったんやろか・・・。

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