怖いというか不思議というか、変?な話。
何年か前、母方の叔父の家に引越の手伝いにいきました。
引越といっても、家財道具などのものは業者に頼んで運び済みなので、主に捨てるものとそうでないものの区分分けってヤツです。
捨てるものは、はっきりいってそのまま。(家を壊したときに業者さんが処分してくれる)
捨てないものは、どこかへもっていくって手筈ですね。
叔父と私で倉庫の中であーだこーだ言いながらやってました。
そしたら出てくるわ出てくるわ、お宝の臭いプンプンするものが。
古い掛け軸やら壷なんかの陶器、巻物みたいなやつとか。
母方の家系は京都に昔住んでいたようで、古都のニオイがプンプンするお宝♪
お宝鑑定団に出してもよさそうなものばかり。
さすがにこれらのモノは捨てられないってことでワゴン車につめこみました。
あとは古いおもちゃや、時計なんかのオブジェとかばかりでゴミケテーイ。
それでお宝の整理してたんだけど、その中に木箱に入ってた刀剣があったんです。
脇差しっていうんですか?時代劇で侍が2本くらいさしてて短めの刀のほうのヤツ。
すげーなーって感じで袋からだして、刀を眺めてたら叔父さんが「そんなの欲しいならやるぞ?」って言ってくれたもんだからもらってしまいますた。
ちょっとチラシを刃にあててみたところスゥって感じでスパスパ切れました。
私:「本物じゃん、いいの?」
叔父:「いいよ。親父(祖父)から代々受け継いでるものらしいけど、ウチは娘ばかりだから、お前らのどっちか(俺か兄)にやるのがいいだろう?」
意外でした。
母方の家系は京都で侍をしていた話は聞いていましたが、こんなワザモノがうちの家系につたわっていたなんて。
保存状態がよかったせいかサビもなくいい感じ。
恥ずかしい話で男ってやつはいくつになっても、こういうものが好きみたいです。
えらいはしゃいでしまいました。
「売るなよ。一応、家宝ってことになってんだからな。」
叔父の話に相槌をうちながらも刀を眺めていました。
その夜、変な夢をみました。
なんか集合墓地のようなところで、木のお墓(札)お坊さんがお経をあげていました。
そこへ3人の男がやってきて、お坊さんを惨殺してしまうのです。
3人の手にはそれぞれ、鍬、鎌、ナタをもっていて鎌を持っているのが私でした。
お坊さんを叫び声ひとつ上げず、驚きの表情のまま殺されていきます。
私は他の二人が怖くて、さからえずに共に行動していました。
あまりに惨たらしい夢でしたので、夜中に目が覚めました。
汗をぐっしょりかいていました。
それから2ヶ月くらいしたあと、兄とささいなことで喧嘩をして、あまりに頭に血がのぼったので、刀で切り殺してやろうと思いました。
ズンズン自分の部屋に歩いていって、木箱を開けて袋から刀を出そうとするところで、「はっ!!」と冷静になりました。
「なんて怖いこと考えてるんだ、オレ・・・・」ってゾーっとしました。
それで少し考えることにしたんです。
やはり手元に凶器があるのは、マズイ。
すこしカーッと来ただけで、こんな風に思えてしまうなんて。
アメリカなんかでは銃がどの家庭にもあるせいで、夫婦ゲンカでどちらかが撃たれることなんてしょっちゅうらしいですしね。
そう冷静に考えて、刀を屋根裏の倉庫の奥の奥にしまいましたが、ふと、刀を手に入れた晩に見た夢が気になっていました。
『・・・・もしかしたらこれは呪われた刀なんじゃないだろうか?』
そんな思いも少しあって怖かったんですね。
まー幽霊とか呪いとかって全く信じてないほうなんですが、万が一ってこともありますし。
ですが、刀をしまった晩からまた変なことが起きるようになりました。
天井からズル・・・ズル・・・・ってなにかを引きずるような音がするようになったんです。
音を聞いた感じでは、2,3キロぐらいの重量はありそうな音。
夜、寝静まってから聞こえます。
母親も聞いたみたいです。
母:「あれはヘビだね。」
ゲーーーーー!やめてよ!!ヘビなんてキライじゃぁ!!!
私:「業者にたのんで駆除してもらってよ!」
母:「ネズミを食べてくれるんだからいいじゃない」
私:「毒蛇だったらどうすんだよ、うちは犬(座敷犬)がいるじゃん」
母:「天井に住み着くヘビはアオダイショウだから大丈夫よ」
といってむしろ乗り気・・・。
こちとら刀のこともあってけっこうブルーになってるのに。
よっぽど刀のことを言ってやろうと思ったけど、精神病院行きを恐れてやめました。
とりあえず、這いずりまわる音が気になるので、天井裏の倉庫のあるセクションの部屋で寝ることにしました。
そこならヘビがはいずりまわらないので音はしないんです。
そんで、しばらくして母親もここんとこ音も聞かないって言ってたから安心してたんですね。
それである晩に居間でテレビをみてたんです。
そしたらいたんですよ!
茶ダンスの間の茶筒が並んでるとこにさぁ!
白ヘビが!
白ヘビっていっても、色は黄色とうす茶色の中間色みたいで汚い色なんですね。
怖いっていうよりも、腹が立った・・・。
「なんでよりによって白ヘビなんだ!どんなタイミングだよっ!」って。
そんで母親が帰ってきたんでそのこと話したら、大喜び!
なんでも仕事先の知り合いの人が、その人の家の側溝で死んでた白ヘビを神主さんをよんで神棚つくって供養したんですって。
そしたらそこの会社、大儲けで信じられないくらい忙しくなったって話を聞いてたんですって。
母の計算では、死んでるより生きてる白ヘビのほうがご利益あるだろうって!?
もうね、バカかと、アホかと。
それで、その白ヘビを祭ってる神社に神棚つくる相談に行くっていうから、オレも着いていってそれとなく刀のことも聞いてみようって思ったの。
だってさすがに気持ち悪いんだもん。
で、神主さんにアポとって平日の夕方に神社に刀持っていくことにしました。
神主さんは、ジャージみたいなの着て・・・夕飯まえだったみたい・・・。
母と神主さんは神棚の話を一通り終えると、世間話をすごいしてました。
天気はどうだとか、景気がどうだとか・・・・。
なかなか話しかけるタイミングが出来なくてイライラしてると、木箱が神主さんも気になったせいか、「それは?」って聞いてきました。
キタ!!!!
私:「いやあ、これ家の家系に伝わる家宝らしいですけど。なにかご利益みたいなものないか見てもらおうと思って・・・」
まずはプラスのイメージから入って、呪いを見破れるかどうか試す!というイヤらしい聞き方をしちゃいました。
神主さん:「おお、これは!!」
驚く神主さん。
息を呑むオレ。
神主さん:「いい刀だ!これは見事ですな!!!」
思いっきり力が抜けました・・・。
神主さんが言うには、ご利益うんぬんというより、ご先祖様を敬う心を大切にする為にはこういうものがいいらしいです。
・・・・・なんだったんだ、オレ馬鹿みたい。
そう思ったら急に恥ずかしくなってきました。
俺:「でもこの刀を貰ってすぐに(ちょっとウソついた)白ヘビが現れたんですよ!」
神主さん:「ならご先祖様と繋がりのある白蛇(はくだ)様かもしれませんね。神棚に一緒に奉納したらどうでしょう。」
母:「そりゃいーーわねぇ!」
もうスキにしてくれ・・・。
そんなわけで神棚も完成。
奉納式(って言うのか?)も終了。
いまも刀はしっかり神棚に奉ってあります。
俺一人でオカルトしてたって話です。
ほんとに鬱・・・。