その話は言っちゃいけないよ

カテゴリー「不思議体験」

私は親の都合で生まれてから中学に上がるまでは伯父に育てられ、実家に行くのは初めてでした。
最初の頃は初めて会う弟と両親に緊張していたのを覚えてます。
弟は二つ下で友達のように遊びました。
家は日本家屋で、庭には桜の木が植えてあり、子供ながらに綺麗なものだと思っていました。
しかし毛虫が嫌いで木に近づかなかったのです。

夏、蚊帳の中で弟とこそこそとじゃれ合いながら眠らずにゴロゴロしてると、遊んで興奮してきたのか暑くなり、襖をあけることにしました。
当時家に飛び込んできた身だったので立場の低い僕が行くことになり、ふすまを開けました。

すると桜の木が咲いていました。
当時植物の事などまったく知らない僕は「夜になると桜が咲くんだな」と勝手に納得してました。
桜の周りには子供達が居てかごめかごめをしています。

「かぁーごーめーかーごーめー、かーごのなーかのとーりぃは」

その子供達が楽しそうに桜の周りを回っているのを見て僕も仲間に入れて欲しいと考えたのですが、弟が後ろで呼んでいるので蚊帳の中に戻りました。
そのまま眠て次の日恐る恐る母親に聞きました。

当時知らない人だった母親が暗い日本家屋で料理している姿が非常に恐ろしく見えたのです。

母:「その話は弟には言っちゃいけないよ」

しかし子供の僕はそんな約束守れるわけも無く、その日の夜、弟に話しました。

その日は襖が閉めてあり、それほど暑くなく蚊帳の中でグッスリと眠りました。
次の日、桜の木の下で弟が冷たくなっていたのを父が見つけ、母が僕に怒鳴り散らしました。

母:「言うなと言っただろ!なんのためにあんたを義兄さんに預けたかわかんないじゃないか!」

次の日、半年振りくらいで会う伯父の家に帰りました。
僕は何故か怖くなり伯父夫婦に何も言えませんでした。

それ以来父と母には会っていません。
先日行われた伯母の葬儀にも二人は現れませんでした。

怖くて伯父に聞けないのですが、あれは何だったんでしょうか?

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