世にも奇妙な倒産騒動

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

ちと頭に残っている話を。誰か知っていればいいな、と。

98年頃、日曜日の午後2時頃に放送されたノンフィクション。
『世にも奇妙な倒産騒動。優雅な失踪』

東北(青森?)のとあるスーパーの2代目(30代前半?)が失踪した。
その2代目とは、田舎には珍しく精力的に事業を展開し、地元では青年実業家として一目置かれていた人物。
失踪直前まで変わった様子もなかったし、経営が傾いている様子も窺えなかったこともあり、残された従業員も債権者も呆然。
まさに周囲を煙に巻いた華麗なる倒産劇だった。

しかし、残された者達はたまらない。
借金は莫大で、頼みの担保(社長の家屋敷)でも歯が立たず、その多くは連帯保証人(従業員多し)の肩に。
青年実業家を信頼し、投資していた資産家は別としても、(落ち込んではいたが)職を失った上に借金まで背負わされた従業員達にとっては深刻な問題だ。
番組で取材した元従業員(40~50代?)もかなりの負債を背負わされ、家庭は沈みきっていた。

さて、失踪し2代目社長はどうしたか。
彼は親戚を頼って家族と共に上京していた。
そして、親戚の会社で働いているという。
何でも、手取り50万ほどで、生活苦とは無縁。
さらはに土日もきちんと休めるから、昔よりゆとりある生活らしい。

事実、週に一度は夫婦で食事を楽しむとかで、洒落たレストランの前でインタビューを受けていた。
これだけでも腹立たしいのに、地元に残してきた借金と保証人達のことをスタッフに問い質されると、自己弁護&逆切れで、謝罪の言葉は皆無。
一応悪いとは思っているらしいが、家族(特に子ども)のことを考えると仕方がなかったと嘯く始末。
そうして視聴者を鬱にさせたまま、エンディングへ。

父親が負債を背負わされたという女の子(12歳ぐらい?)が社長宛に手紙を書いてスタッフに託す。
それをスタッフが渡そうとするも、社長は受け取り拒否。
「どうせ『お父さんが可哀想』とかそんなことだろ?ケッ」って感じで。
しょうがなく、ナレーターが読み上げる。

内容はそれなりに恨み節ではあるものの、淡々としていて感情的にはなっていない。
ただ一言、『許さない』とだけ言いたかったのだと思う。
自分勝手な社長よりもずっと思慮深く、あの若さでここまで悟ったのかと思えば鬱度2倍。
そして番組は終わる。

因果応報の気配もなく、まさに『正直者が馬鹿を見る』といった感じで、今もモヤモヤしている。

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