同僚の話。
彼は仕事の関係で、ある山中のダムへ足を運んでいる。
いつの間にかそこの管理人さんと仲良くなり、四方山話などするようになった。
聞かせてもらった話の中に、ひどく不気味な物があったという。
ダムの一角に、下の水面が覗き込めるようになっているポイントがあった。
丁度、柵の切れ目に当たっていたらしい。
ダムの管理人さん:「悩み事とかある人は、一人であそこに行っちゃいけないんよ」
同僚:「飛び降りちゃうからですか?」
ダムの管理人さん:「うんにゃ、突き落とされるんだ」
同僚:「・・・誰にですか?」
ダムの管理人さん:「いや、誰も居ないみたいなんだけどな」
悲鳴を聞いて駆けつけると、青い顔で「誰かに後ろから押された」と訴えられる、しかし周りには誰も見あたらない・・・そんなことが過去に何回かあったのだと。
毎年何人か投身自殺があるが、その内には死ぬつもりなどなかったのに落とされた者もいるのかも。
管理人はそう疑っているのだそうだ。
つい先日、そのポイントには高い柵が設けられたそうだ。