俺のばあちゃんの妹が昔キツネに憑かれたらしい。
とにかく不審な行動をするようになって変な物を好んで食べるようになったり、夜中にいつも出かけるので後をつけてみると川に行ってる事が判明したり・・・。
段々行動がひどくなってくし、顔つきも何だか変になっていって口先を尖らした感じ?で・・・いかにもキツネっぽい表情になってしまったんだとさ。
北海道のド田舎ではこういうのたまにあるらしく、「これは間違いなくキツネ憑きだ!」って家族は思ったっわけ。
それで、巷で有名な霊媒師に相談することに・・・。
この霊媒師が只者じゃなくて周辺の町や村では相当有名だったらしいです。
名前は徳蔵さんといいます。(とくぞう、漢字不明)
私の爺さん婆さんに聞いた話では先祖代々キツネの力(霊力?)を使ってお払いをする狐使いの家系なんだそうです。
徳蔵さんのお母さんは巫女だったらしく、以前はお母さんが同じ事をしていました。
だからこの町では霊的(オカルト)な問題が起きると徳蔵さんの家系にお世話になっていたのです。
なんだか胡散臭いと思うかもしれないけど、こういう田舎では人と人との繋がりが深く助け合いが基本です。
当然、徳蔵さんはボランティアでこのような事をしていたので、詐欺や基地外ということではないようです。
徳蔵さんは修験者?(天狗みたいな)というやつらしく、相当厳しい修行を積まれた方です。
何十年も前にお亡くなりになったので私はお会いした事はありませんが、父は何度か会ったことがあるそうです。
少々、父から聞いた話を書きますが、私の父は商売をしておりまして、商品を届けるために何度か徳蔵さんの家にお邪魔したのです。
家に行くと、いつも必ず玄関に立っているそうなんです。
何時に行くと事前に連絡したわけではありません。
変に思った父は祖父にこの話をしました。
するとどうやら人の気配や感などでわかるらしいのです。
父はこの話を聞いてから徳蔵さんの家の玄関を開けるのが恐ろしくなったそうです。
もう一つ聞いたエピソードは徳蔵さんに絨毯を買っていただいたときに、父が古くなった絨毯を剥がして新しいものに交換する事になったんです。
作業をしていると自分の背後や周りで変な音がするのに気付いたのですが、周りを見渡しても何から音がしているのかわからない。
でも何か気配の様な物がするし、走り回っているような・・・感じ。
自分だけにしか聞こえていないのだろうか?と思い徳蔵さんのほうを見ると「狐だよ」と、徳蔵さんは真顔で言ったそうです。
自分の家に帰った父の顔は真っ青だったらしく、祖母がとてもびっくりしていたと話しておりました。
二度と行きたくないと思う父でしたが、仕事ですから結局何度も行く事になり、そのたびに狐の足音を聞くのでした。
それに足音だけでなく足跡を見ることもあったそうです。
どうやら徳蔵さんは見えない狐を飼っているようですね。