俺は昔から不幸体質というか何というか、危ない目に頻繁に遭う。
考えすぎだろ?とかそういうレベルじゃなく、一歩間違えれば死んでるような目にもう10回以上遭っていると思う。
山道を車で走っていたら落石にあったり、たまたま落とし物をして立ち止まったらバイクが猛スピードで目の前を走り去って行ったり。
実家に泊まったら住んでるアパートの方で放火があった・・・。
なんてこともあった。
でもどういう訳か、いつも紙一重で怪我一つなく助かる。
お陰で今もピンピンしている。
そしていつも、そうして危険が過ぎ去った時、視界の端に不思議なものが見えるんだ。
すごく小さい、背中に蝶のような羽のついた女の子。
それこそ御伽噺の妖精のような感じで、どうも俺の守護霊とか、そういう存在らしかった。
普段は見えないけれど、俺が本当に危ない時、ひょっこり出てきては俺を守ってくれている。
俺はこの妖精が大好きで、感謝していた。
ある日、深夜にコンビニへ出かけた時。
店の手前まで来てサイフを忘れたことに気がついた。
「やべ、何してんだ俺・・・・・・」
溜め息を吐いて踵を返す。
と、”ギギャギギギギ、ガッシャーーーン!!”
いきなり轟音。
振り向くと、俺の目の前ほんの2~3メートルのところで、車が歩道に突っ込んできていた。
もしあのまま歩いていたら、確実に巻き込まれていただろう。
危なかった・・・・・・と思っていると、視界の端に見慣れた姿。
妖精だ。
またこいつが守ってくれた。
俺は感動して、「ありがとう」と呟いた。
すると妖精はふわりと俺の目の前に移動してきた。
初めてちゃんと姿を見る。
思ったとおり、いや、それ以上に愛らしい顔立ち。
まさに天使だ。
すると妖精は俺の顔を見て、ぽつりと呟いた。
「今度こそ、殺してやる・・・・・・」