最初に言っておくと、漠然としたヌルい落ちのない不思議話。
その夜21時頃。
地下鉄で帰宅しようとしたら1駅乗り過ごし、また逆方向に乗ってもいいんだけど、1駅ぐらいだから歩こうと思って降りた。
でも、改札を出てから、今日は特に疲れていることに気づいて後悔。
普段はそこからエスカレーターと階段で地上に出るんだけど、その日はエレベータを使った。
地下鉄のエレベータは嫌いなので、ほとんど使ったことがない。
地上のどこに出るんだろうな・・・とか、案外長いな・・・とか思いながら地上に到着。
最寄り駅ではないので、キョロキョロ辺りを見渡して、何とか方向を掴もうとするもよく分らない。
そして何故か急にとてつもない焦燥感というか、異常にテンパったような気持ちになる。
別に進む方向が分らないからではない。
最悪でも少し歩けばすぐ方向は分る。
その気持ちの理由がわからず、何か心の病的な発作かと思った瞬間、軽く短くならされたクラクションが聞こえてた。
見ると、今は遠くに住んでるはずの友人が、車の窓から顔を出して呼んでいる。
何か救われたような気持ちになって駆け寄り、車に乗せてもらった。
なぜ帰省しているのか?とかいくらでも話すことはあったが、さっきの事もあり、気分が優れないというか、ボーッとしてるというか、何かおかしい。
友人にそれを伝え、ちょっと黙っていることに。
不思議な感覚だけど、未経験の感覚ではない。
あ、これは夢だ!と思った。
昔はときどき明晰夢を見たので、これもそれに違いないと思った。
でも、家に帰って眠りにつくまでのことを思い出そうとしたが、思い出せない。
普通はこうなってくると目が覚めるんだけど、覚めない。
そしてここからほとんど記憶がない。
ぼんやりと覚えているのは、友人がオレに「仕事を辞めたほうがいい」と言ったこと。
その声も言い方も全然その友人らしくなくて、
でも、その友人しか知り得ない事をいくつか言っていたような気が・・・ぼんやり。
次に意識がはっきりしたとき、オレは何年か前まで住んでいたマンションの前につっ立っていた。
時間は午前2時過ぎ。
今度は頭がハッキリしていて、普通にテンパった。
何がなんだか分らないけど、とにかく帰った。
地下鉄もタクシー代もないので2時間近く歩いて帰った。
家に着いたら何か謎だらけで納得が行かず、疲れてるのに寝れなかった。
何か気を紛らわせなきゃとネットに繋いだら、先ほどの友人の元奥さんから、オレのフリーメール宛にメールが届いていた。
メールは長いんだけど、大体の内容はこうだ。
・PC調子悪いから今度見てくれ
・夢に元旦那がでて来て意味ありげなことを言っても、それは良くない偽物だから無視しろ
・そういうのは偽物が多いから、気にしちゃいけない
・こっちにそれが来て、何となくそっちにも行きそうな気がする
・・・という感じ。
夢ではないけどアレって・・・・と心臓バクバク。
でも、変な出来事を一人でかかえて混乱するしかない訳じゃなく、これを共有してる人がいることに、ちょっと安心。
元奥さんはオレの友人でもあり、表向き真人間だけど、元旦那やオレなど含め、気を許した数人の前では電波的に変なことも言う。
でも、それが面白くもあるので、変なメール自体はあまり驚かないんだけど、今回は、ちょっと驚いた。
友人のほうにメールしてみたら(普通っぽいメールで所在地確認も)だいぶ遅れて昼過ぎに普通の返信が来た。
相変わらず遠くの街で働いていて、今日は夜勤で、交通費があれば盆には帰れるかもという内容。
その最後に「また〈元奥さん〉が変なこと言ってなかった?」と書いてあったので、「言ってたし、偽物の〈友人〉の幻覚も見たけど、多分問題ない」と返しておいた。
以上、オチとかはないんだけど、なんかスッキリしない不思議な経験。