祖母の家には歯がない女が

カテゴリー「都市伝説」

小学生のときの話。

お盆休みに母の田舎の祖母の家に行った。
同年代もいなくてつまらず、一人で市営プールに行った。

いつの間に同じくらいの女の子がそばにいて、なんとなく2人で鬼ごっこみたいに遊びはじめた。
その女の子は、歯がなくて、笑うと口の中が黒くてニッとなって、少し気持ち悪かった。

水をかけあったり、追いかけたりして遊んだ。
しばらく遊んでるうちに、女の子を見失って、帰ったんかな?って思って、私も祖母の家にかえった。

その日夜、ひとりでお風呂に入ってたら、突然すごく寒くなって、湯舟に顎まで浸かった。
そしたら、急に頭を後ろに引っ張られて、誰かが背中から負ぶさってきて、耳元で「みつけたみつけたみつけたみつけたみつけたみつけたみつけたみつけたみつけたみつけた」って・・・。
見るとさっきのプールの女の子だった。

気が付いたのは、祖母の家の和室で、母が「あんたお風呂で溺れそうになっとったよ」と教えてくれた。

あの女の子の事は話さなかった。
私も絶対見たと自信なかったし、うしろから私の首にしがみついてた、あの女の子の黒い空洞の両面と口が、怖くて、なんだか喋ってらいけない気がした。

その後、祖母の家はなんとなく避けて、行く事はなかった。
昨日、祖母の通夜で何年ぶりに訪れるまで・・・。

そして、あの女の子は、やはり湯舟にいて、風呂場のドアを開けた私に、空洞の両目と口を大きくあけて「まってたよまってたよまってたよまってたよまってたよまってたよ」と嬉しそうに叫んだ。

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