子供の頃、近所に大きな家があって、そこのお姉さんは(当時高校生くらい)とても美人でピアノが上手で、いつも家から綺麗なピアノの演奏が聞こえてた。
夏休みのある日。
友達の家に遊びに行く途中でお姉さんが自転車に乗っていた。
自転車に乗っているのなんて初めて見たので、ちょっと驚いて見ていたら、笑いながらこっちに向かってきた。
いつも通り上品なワンピース姿に綺麗な長い髪をなびかせてるけど、自転車はボロボロ。
「○○ちゃん(俺)、お姉さんと遊ぼうか」と言われたけど、友達の家に行く途中だからと断った。
物凄くさびしそうな顔で「じゃあね」とまた自転車に乗った。
「なんか悪かったなあ・・・お姉ちゃんとも遊びたいけど・・・」と思って振り返ったら、もう姿が見えなかった。
辺りに何もない農道なのに。
その後、特に気にしていなかったせいもあるけど、お姉さんを見かけることがなくて、ピアノの音もしなくなってることに気が付いた。
親に「あの家のお姉さん、どうしてるの?お嫁にでも行った?」と聞くと・・・「誰?ああ、若奥様のこと?」と不思議がられたので、お姉さんのことを説明すると「あの家にそんなお嬢さんいないでしょ?」と言われた。
誰だったんだあれ。