私も占い師に「長生きできんね」と言われたことある。
理由を聞くと「あんた、大陸に行ったことあるだろう?そこで憑かれたんだと思うけど、悪霊なんて
もんじゃない。神に近いから、まず払えないし、どこに行っても障ることを恐れて何もできないよ。」とか。
確かに、仕事で中国に数年住んでいた。
「まあ、日本にいる限り、息子さんが成人するまでは持つよ。あんたの背後に白狐が見える。これが強いし、あんたの家系、将門信仰してる者がいるからね。お祖父様お祖母さまに感謝することだ。・・・それと、叔母さんかな?修道院にいる人もいるねえ。彼女も遠くからあなたを守っているよ。・・・でも、あと数年だね。」
息子、もう15歳なんですが。あと5年でこの世とさよなら?それを何故断言できる?
私の不審そうな顔に、占い師は続けた。
「あんた、過去に手の筋切って何かできなくなってない?」
確かに、ジャズピアノをやっていてそこそこ仕事もあったが、交通事故の後遺症で今、左手があまり動かず、ピアノなんてもうとても無理な状態である。
「それは持って行かれたんだよ。でも命だけは、あんたを守る人たちに救われた。でも、次は全て取る、と言っているよ。・・・ごめんねえ、不快な事ばかり言って。」
占い師はそう言って、私から料金を取らなかった。
あと5年でこの世から去る?にわかに信じられなないし、今も信じてない。
ところが、その占い師は「当たる」と評判だそうだ。
割と高額な見料も、あんなに長時間話したのに「残りの人生に使いなさい」と貰わなかった。
帰宅後、夫と子供に話した。
信じてないけど、と言いつつ・・・。
「私が死んだら、あななたちが心配で・・・」と言ったら、夫も子供も、「それは自分たちが乗り越えること。おかんは心配しないで、残りを好きに使っていいよ」と。
今のところ病気などは無い。
でも人は何で死ぬか解らない。
ちなみに、後日、ある有名神社にお払いの相談をしたら占い師の言ったとおり、「神様にはできる限り障りたく無いんです。こちらの命も危ないですから」と。
「すいません、どんな神様が憑いてるって?」
「・・・地獄の神様です。あなたの左手を持ってます。・・・日本の神様ではありませんね。」と。
回避方法無しと言われたのだが、神主さんには、「でも基本的に自分はあまり信じてないんです。私には見えませんから。」と言ったところ、「そういう強い気持ちも大事ですよ。」とか。
「なんで私なんでしょう?」
「人と同じですよ。好みなんです。昔から、神様に愛されると長生きできないと言いますね。あれと一緒ですよ。」
いや、そんな若くも無いですしと言ったら、「寿命からしたら充分若いですよ。」と。
実家のお稲荷様と、近所の将門神社には毎日詣でている。
でも、最近、右肩が重いことに気がついた。
そして、もともと夢などあまり見ないのに、夢を見るようになった。
どこかの屋敷で、ピアノをずっと弾き続けている夢。
動かない左手が動くのは気分がいい、ずっとここにいたいと思う。
「ずっといてもいいんだよ」と、背後から右肩に手を置かれ、めが覚める。
いつかこのまま、目を覚まさなくなるのだろうか。