2011年の4月、夕飯の時に母ちゃんに聞いた話。
俺の家は三陸の港町。
津波にやられたが、比較的被害は少なかった。
でも周りには大切な人やら家やら仕事やらを亡くした人もいて壮絶だった。
父ちゃんと母ちゃんは、そんな友人を励まそうと暇を見つけては訪ねて差し入れなんかをしてたんだ。
ある日、母ちゃんがタコの刺身を持って友人を訪ねて行ったんだ。
でも友人、なぜか頑なに食べようとしない。
「すまん、すまん」って言って。
あんなにタコが好きだったのになぜか?と問いただすと、おもむろにこう言ったんだって。
「こないだ港で赤ちゃんの頭抱えたでっかいタコが上がってさ。それから食えなくなった。タコは死体を食うのよ。」
それ聞いて母ちゃんも父ちゃんも閉口したんだって。
「それ聞いて思い出したんだけどね、お母さんも昔タコをさばいたら髪の毛出てきたことあってね。髪の毛だけ捨ててタコ食べたんだよね~。」って家族全員知らずに食わされてたんじゃね?それ。
てか母ちゃん、今タコ出しながら言うなよって話でした。
スマトラや奥尻のシャコが有名だけど都市伝説かと思ってたわ。