20年くらい前、車中泊しながら鹿児島まで旅行したことがあった。
今よりは大らかで、その辺に車停めててもそんなに不審者がられることは少なかったけど、車の外で◯◯ナンバーの車が停まってる、なんてヒソヒソやられるのが聞こえてウザかった。
計画性はあまりなくて、何日か目に山ん中の道路脇に広めのスペースがあったんで、そこに車とめて寝ることにした。
周囲には何もない森で、もう日付が変わるころだったと思う。
曇ってたのか空には月も星もなかった。
新月だったのかもしれない。
とにかく真っ暗。
寝入ってしばらくして、何時なのかはわからないけど、トントン、って車体を叩く音がした。
車内から窓の外はぜんぜんわからない。
虫か獣かなとも思ったけど、ふつうのノックに聞こえて気になった。
手さぐりで懐中電灯を取って音の方を照らした。
そしたら、オッサンの顔が窓にくっついてた。
その顔みた瞬間、あこれやばいやつだと直感した。
なぜなら、かなり強いライトでいきなりモロに顔照らしたのに、瞬きひとつしなかったから。
ウワッと思ったとたん、強烈に眠くなった。
そんで、なぜだかわからないけどそのまま眠ってしまった。
次の朝は普通にきた。
目が覚めて夢かな?と思ったけど、見ると懐中電灯がつきっぱなしになってた。
なんだったんだろうあれ。