トンネルの先にいた人影

カテゴリー「心霊・幽霊」

これは一週間ぐらい前の話なんだが・・・。

俺と友人A、Bとで夜中に恐怖映画祭りをしてたんだ。

大量に借りた映画をなんとか見終わって感想を言い合ってた。

すると友人Aが

A「そういえば近場に心霊スポットってなかったっけ?」
俺「え?マジでwどこどこw」

A「細かい場所は忘れたけどトンネルだったはず」
B「トンネルってまたベタだなw」

A「ええっと(携帯取り出し検索)お、多分ここ」
俺「・・・県内みたいだけどどこよ?」

A「さぁ?ナビ使えばわかんじゃね?」
B「ナビって事はまさか行くき?」

A「いやぁwせっかくだし肝試し行かねぇかなとw」
俺、B「おまwwww」

とまぁこんな感じでそのトンネルに肝試しに行くことになった。

そのトンネルは山の中にあるらしく、心霊内容は髪の長い女が出る、どこからか声が聞こえるなど、よくあるタイプの心霊スポット。

到着するとそこにはいかにも出ますという雰囲気が半端ないトンネルがあった。

深夜1時ほどの山の中なので明かりなど無くトンネルの中も照明がなくて真っ暗。
その見た目にこえぇwやべぇwなどテンションは更にあがった。

俺らは入り口のすぐ脇に車を止めてAの家から持ってきた一個の懐中電灯を装備しトンネルに突撃した。

トンネルの中は暗く懐中電灯で照らしても向こう側がまったく見えなかった。
幽霊がでたらどう退治するか、綺麗なら捕まえちゃおうなど馬鹿話をしながら、ある程度進んでいたとき、友人Aが持っていた懐中電灯が突然消えた。

俺「うお!どうした!?」

返事がない。

俺「ちょい、ふざけとる?」

また返事がない。

姿を確認しようにも自分の姿がギリギリ分かる程度で探しようが無かった。

あたりに手を伸ばしたが何も当たらない。
何度か声をかけてみても返事がない。

悪戯か何かかと思い明かり代わりに携帯を使おうとしたが、ポケットに入ってなかった。

どうやら車の中に置いてきたらしい。
仕方ないので俺は壁を伝いながら元来た道を引き返した。

少し進むと薄明かりが見えてトンネルを抜けることが出来た。

だけど脇に置いてあった車が無い。
最初置いて行かれたのかと焦ったが、よくよく周りを見ると霧が掛かっていて来た時と雰囲気が若干違った。

どうやら戻ったつもりがそのまま出口に出てしまったらしい。
俺はまた壁を伝いながら戻る事にした。

早足で戻ったおかげか直ぐに入り口が見えた。

出口にいなかったし戻ってる間も二人に会わなかったのできっと車に乗っている、なんて文句を言おうか考えながらトンネルを出たら脇に置いてある車が無かった。

それだけじゃなく辺りには霧が掛かっていて、さっき出た出口そっくりだった。

トンネルに入ってからは一度も壁から手を離さなかったので間違えたとは思えない。

呆然としてると霧の向こう側から何かが近づいてきていた。

もしかして二人かな?と思いそれに近づくと、そこには女の子がいた。

歳は10位で真っ白い着物?みたいな物を着ていた。
肌もペンキ塗ったみたいに真っ白で。
口と目じりは真っ赤な化粧?がしてあった。

怖いというよりもすごく綺麗だったのでなんか恐怖感が沸かず、何でこんなところに居るんだ?と思った。

あきらかに場違いな場所に居るその子はにっこり微笑みながら俺に近づいてきた。

女の子が歩き出した瞬間曇っても無かったのに急に雨が降り始めた。
さすがに何かヤバイと思い俺は直ぐにトンネルに引き返した。

早く二人と合流して逃げないとヤバイ。

俺は急いでトンネルの出口に向かった。

出口が見えて出るとそこには女の子が居た。

さっきと変わらない場所で。
雨が降ってるのに全然濡れていなくて俺の顔を見るとまたにっこり笑って両手を俺に伸ばしてゆっくり歩いてくる。

たったそれだけの筈なのに体中が震えて涙が止まらなくなった。

歯もガチガチ鳴って心臓を直接握りつぶされてる感じがして、俺はもう腰が抜けて動けなくなってしまった。

女の子がゆっくりと近づいてくる。
どんどん近づいてくる女の子はただ笑っててすごく幸せそうだった。

それなのに俺は体中が固まってみっともなく泣いてる事しか出来なかった。

後もう少しで指先が触れると思った瞬間、急に腕を引っ張られて後ろに倒れた。

引っ張られた方を見ると友人二人が不安そうな顔で俺を見ていた。

慌てて前に向き直すとそこには誰も居なくて霧や雨も無くなっていた。

B「えっと・・・お前大丈夫?」
A「どこ行ってたんだ?心配したろ」

俺は二人の腕をつかんでトンネルに向かって思いっきり走った。

今度こそ車が見えて二人を押し込んで早く出せって言った。

その後は良く覚えていなくて気がついたら自分の部屋で寝ていた。

こっからは友人から聞いた状況。

馬鹿話しながら歩いていたら急に懐中電灯が切れた。
慌てて横とかを叩きながらスイッチ連打してたら割と直ぐ点いたらしい。

で周りを見ると俺が居なくなってたそうだ。
声をかけても返事がなかったので出口に先回りして脅かそうとしてると思ったらしい。

それで特に何もなく出口に着いたが俺の姿はなかった。

それじゃあ車のほうで隠れてるのかと思い戻ってみたが車にも居ない。

どこいったんだと?と心配していたら、トンネルの中から俺の叫び声が聞こえたそうだ。(自分的には叫んだ記憶はない、多分)

急いでトンネルに戻って中を隅々まで照らして俺を探したけど見つからずそのまま出口に出てしまった。
走ってはいたけど注意深く見てたので行き違いにはなってない筈。
念のためもう一度入って探したが居ない。

二人とも困惑していると今度は泣き声が聞こえてきたらしい。

これはヤバイと思い近くにあった木の枝や石を持ってまたトンネルに突入した。

出口が見えてくるとそこに俺が座ってた。

急いで近づいて腕を握ると雨も降っていないのにぐっしょり濡れていた。

思わず腕を引いてそのまま倒してしまった。

俺が振り返る。

目を見開き泣きながら歯をガチガチと鳴らしてたそうだ。

どうしたのか聞こうとしたら腕をつかまれてトンネルの中に引っ張られた、それでそのまま車に押し込まれた、何事か聞こうとしたら、うわ言みたいに出して早く逃げてと言い続けてたらしい。

車を出してトンネルから離れてもずっと膝を抱えてガタガタ震えてたそうだ。

何を言っても反応がないので仕方なしに家に送った。

家についても動かなかったので背負って運んだそうだ。

服も濡れていたので脱がして身体を拭いた。
その間もずっと震えてたらしい。

部屋の電気を全て点けて布団に寝かせた。

あんなに震えていたから何があったか聞くのは酷なのでそのまま分かれたそうだ。

で次の日に何があったか話して、まじこえぇってなって迷惑かけたお詫びに牛丼奢った。

最近良くあの子が夢に出るからマジビビる。

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