霊感とかそういう話になると、多分弟のほうが強いと思う。
ただ、幽霊を見たことは無いらしいけど、自分の知る限り、弟には夢遊病の気があった。
小学校の頃は大体寝てて気づかなかったんだけどよく夜中に歩き回ってたらしく、一度は玄関のように向かったので親が慌ててどこに行くのか聞いたら、外に行くと答え、今は夜だから外に行ったら駄目だというと、わかったといって布団に潜っていったらしい。
翌朝、その話を弟にしても覚えてないらしくキモチワリーと笑っていた。
中学になると成長期だからか反抗期もあってか寝起きが悪くなり何度も起こしにいかないと起きなくなったらしい。
あるときに、親が学校に行かなくていいの?と怒ると寝惚け声で行ったらいかんって言われていると答えたらしい。
親が誰に?と聞くと「あおいちゃん」だという。
誰それ?と聞くと青い着物着て烏帽子を被っていると言い始めたので叩き起こしたそうだ。
弟を馬鹿にするわけじゃないが、あとからよく烏帽子なんて知ってたな、なんて話をしたら何それ?と言うので平安時代に被ってたこう、黒くて長いやつみたいな説明をしたら、おーアレ烏帽子っていうのかーと笑っていて、どうもかみ合っていないとその時ようやく思った。
高校の頃になると家に帰ってこなくなり友達の家に泊めてもらうようになった。
未成年のくせに飲酒までやり始めていたので、あるとき前後不覚で、深夜に友人の家と間違えたらしく他人の家に入り込んで寝入っていたらしい。
電気をつけたままストーブまで付けて、寝ていたところを帰ってきた家主に見つかり飛び起きて逃げてきたらしいが、携帯をその家に忘れてきて、結局警察に取りにいって事情聴取されたらしいw
不法侵入だったが、まぁ大事にはならなかったが腑に落ちないことがいくつかあった。
一つ目は、その家は消防署員の家だったらしく普段は開いてなく、その日たまたま休みだったので一箇所だけ鍵が掛かっていなかったところから弟は侵入したらしい。
二つ目は、初めて入った家の電気の位置を把握していたのか?ちなみにその家の電灯のスイッチは回すタイプのものだったらしい。
うちにはそんなスイッチはひとつも無い。
弟が言うには、友達の家(と思ってる)に行ったけど鍵が掛かっていて入れず縁側で座っていたら中からおじいさんが出てきて、こんな寒いところにおったら風邪引くから中に入れと言われて入ったらしい。
まさに弟がいた部屋には以前はおじいさんが住んでいたらしく、家主に使ってない部屋だから良かったものの・・・みたいなことを言われたそうだ。
弟本人は幽霊じゃなかったと言い張っていた。
あんなリアルな幽霊はいないと言っていたが、とりあえずふざけていると思われては困るので警察には言うなよとだけ言っておいた。
弟はいまでも元気だが、毎年車を駄目にするらしいので憑かれやすいんだろうなと思っている。