大雨の時に、近くの一級河川が気になり(堤防が破れたら一気にうちまで水が来る)、避難がてらに河の水位が見える場所に行った。
あと少しで堤防越えそう、と思いながら見ていたら、隣にいたオッサンが「あれなんだ?」と堤防の一角を指していた。
雨が酷いし、視界が悪いから気づかなかったけど、よくよく見るとちらちらと炎みたいな物がいくつか見えた。
人魂かと、ちょっとビビった。
でもオッサンともう一人いた兄ちゃんは、その人魂っぽいもんの所に、違う物が見えたらしい。
黒い子供みたいな影が、沢山その堤防のところにいて、低い堤防の壁になってると言う。
俺が見えたのは、一瞬人魂みたいなのを遮って堤防にしがみつく様な影だけだった。
結局堤防は持ちこたえたんだけど、明らかにそこは低くて、水が流れ出してもおかしくない場所。
不思議で仕方なかったんだけど、祖母さんに話したら「あの河は河童が居てね、昔は馬や子供が引っ張り込まれたんだけど、ある御武家さんが懲らしめてから人を襲わなくなった」と教えてくれた。
個人的にはその河では死体がよく上がるので、河童とかより死人が堤防を越えて来ようとしてたんじゃないかと思った。