俺は一人暮らしを始めた。
4畳一間の古くさいアパート。
だが、引越してきてからどうもおかしい。
体調がすごく悪い。
というか…いつも誰かから見られてる気がするんだ。
特にふすま。
ふすまが怖い。
霊感ないけどこれはヤバイと思った。
大家や近所の人の態度もなんかおかしいし…。
ある日2ちゃんのレスを思い出して、ちょっと天井裏を覗いてみた。
仏壇はなかったけどボロボロになったうす灰色のビニール袋に包まれた、何かがあった。
開けてみたらビデオテープと髪の毛の切れ端が束で入っていた。
ビデオテープはすごく汚れていて触るのがためらわれるくらいだった。
再生してみた。
写っていたのは俺の部屋だった。
俺の部屋に一人の男(前の住人か?)が座っている。
いや、座っていたり、寝転んでいたり、畳の目の数を数えていたり、痒いのか、全身をずっとかきむしっていたり。
だけどなんていうか、様子がおかしいんだ。
そういう男の様子が、15秒ごとくらいに編集されて写ってた。
全部で5分くらいのビデオだった。
ちょうど俺の部屋の窓の下に、じかにビデオ置いて、部屋に向けて撮ってるかんじ。
こんなの撮る意味も、それを天井裏に隠す意味も、髪の毛まで一緒に隠してる意味もわからなくて不気味だった。
なにより、男の様子はホントにおかしくてぞっとした。
怖いのでどうしていいかわからず、とりあえず友達に見てもらうことにした。
俺の部屋で見た。
友達は固まってたと思ったら、泣き出して、早く出たい、この部屋から出たい、けど怖くて動けないと言う。
この男の映像なんか見ちゃって、よほど気持ち悪かったんだろうな。
と思って「ホントに不気味だよなこの男」って言ったら、「ちがう!!!」
男の異常さに気をとられてて、俺は気付かなかった。
ふすまいっぱいに女の顔が写っていた。
はっきりと、男を見つめてる巨大な女の顔。
それだけじゃない。
編集されたシーンには必ず髪の長い女が、男を見つめる姿が映ってたんだ。
ガラス戸のむこう、ドアの前、流しの中、机の下…