家賃ムリして建ったばっかの新築マンションの一室で一人暮らし始めたばっかの頃の話。
夜ふかしして午前2時ちょい前に布団はいって半分寝ぼけたあたりで、玄関先から「ガチャガチャバキッ」て音がした。
「隣?夢か?」
起きもせずに夢うつつで寝てたら、廊下でパタパタ軽い音がする。
寝ぼけたまま薄目を開けたら、廊下を子供が何人も歩いてた。
大きめのや、よちよちしたのや、着物だったりヒラヒラドレスだったりボロ布巻いてたり、歳も服装も色々のがペチャクチャやりながら、玄関からベランダに向かって歩いてく。
「やっぱ夢だ」と思いつつ寝返りうって眠り込んで、次の日。
玄関見たら、閉めたはずの鍵が開いてた。
その上に、しっかり掛けた記憶のあるドアチェーンが千切れて壊れてた。
さすがに薄気味悪くて、知り合いの紹介で霊感がある人に観てもらった。
「あ~だめだねこれは。引っ越した方がいいでしょー。」
詳しく聞いたら、霊が通る道があるんだと。
「君、子供に好かれないでしょ?その子達、どんな風だった?」って言われて思い出したんだが、前日チラっと俺を見た洋服の小学生くらいの女の子が2人顔をしかめて「キモーイ」と言った記憶があった。
それを言ったら、霊媒師が「良かったね」だと。
何がまずいって、俺の部屋を通ってる道は子供専用らしかった。
しかも、大半が死んだなんて全く思ってない子供らばっかり通る道。
見たときは全然ヤな印象じゃない光景だったが、本気で危ない霊らしい。
「懐かれたら、まず命無いよ。悪気も何もなく、『気に入ったから一緒に行こ♪連れてっちゃえ♪』で寄ってたかってもってかれる。行き先は賽の河原かな、ハハハ。」
ハハハじゃねーよコンチクショウ、と心の底から思った。
もちろんマンションは速攻で出た。