俺が体験した話。
夜11頃に、他営業所で働く後輩から「先輩助けて!ここお化けいる!」と電話が掛かってきた。
そいつとは昔いっしょに働いてたんだけど、部署移動で先月移動になったばかりだった。
夜なのに電話の向こうで大人数の笑い声が聞こえていたので、まだみんな残っていたのだろう。
俺:「お化けだなんて馬鹿なこと言ってるんじゃない」
そう一蹴したら、後輩が切実に訴えてきた。
移動してから一ヶ月でいろんな体験をしたらしい。
誰も触ってないコップが地面に落ちて割れる。
デスクにいると、後ろから息づかいを感じる。
誰もいない二階から歩き回るが聞こえる。
などなど・・・。
営業所の人に聞いたら「気にしたら負けだ」と言われて、本人も相当まいっているようだった。
そして俺に電話をかける直前に、二階に上がっていく黒いもや?みたいな人影を見たという。
後輩があまりにも必死な様子だったので、俺は気休めに「でも他の人もまだ残ってるんだし、早めに仕事終わらして帰らせてもらえよ」と言ったら、沈黙。
数秒後に「俺、一人なんですけど...」と言われてぎょっとした。
気がつくと、電話の向こうから聞こえていた笑い声がピタリと止んでいて、耳が痛くなるほどの沈黙が流れていた。
後輩:「なんで他の人いるって言ったんですか!?」
俺:「テ、テレビの音かな?」
後輩:「テレビなんてつけてないですよ!やっぱり物音とか聞こえてたんじゃないですか!ヤダー!」
そう言って電話が切れた。
そいつは今も働いているが、怪奇現象に悩まされている。