私がまだ高校生だった10年ちょっと前の話です。
通学の際、川沿いのサイクリングコースを使っていたのですが、ある日、突然背後から一台の自転車に追い抜かされたのです。
その日は霧雨が降っていて当たりも静まり返っていたので、背後から自転車が来れば音や気配でわかるはずなのですが、そういったものを感じさせませんでした。
不思議だな~と思って追い抜いていった人を見たら『首』が無いんです。
その人は男性で上はGジャン、下はGパンでスポーツタイプの自転車に乗っていました。
最初は首をすくめているのかな?とも思ったのですが、必死に追いかけていって真後ろについて背後からちゃんと見るとやはり首はありませんでした。
その後も500m程追いかけたのですが、スピードが早くてどうしても追い越せませんでした。
この話はその後誰にもしなかったのですが、ある時同級生からこんな話を聞かされました。
夜、彼が部活から帰る際に例のサイクリングロードを通ったところ、川にかかる橋の欄干に『首』だけが何個も乗っかっていたのを見てしまったそうです。
私があの男の人を見失ったのはその橋の手前だったんです。
あの男の人の『首』もその中にあったのでしょうか?
その後その同級生は怖くてバス通学に変えていましたが、私は定期代がもったいなかったので(笑)3年間そのサイクリングロードを使って通学しました。
補足になりますが、そのサイクリングコースと平行して走ってる川はたいした川幅もない、ごく小さな川なのに毎年、溺死者が出る事で有名でした。(土座衛門さんを見てしまった同級生多数。私の弟も見てしまった一人です。)