霊に向かって問いかける

カテゴリー「心霊・幽霊」

私が秘書の仕事をしていたときの話。

まぁ、お偉いさんの集まるその職場は、クリエイティブというよりも、古きことを重んじるといった感じ。
秘書と言っても色々いて、お偉いさんの付きのスケジュール管理をする人とか、行事の文書作る人とか・・・。
私は新人でいきなりその部署に配属だったのではっきり言って雑用係。
昼間の接遇関係の仕事で事務がさばけず、一人で残業する日も多かったと思います。
しかし一人で残業した方が用事を言いつけられたりせず、とても仕事がやりやすかったので、手当も付かないのに結構のりのりで残業してました。

一人で残業しては遅くにカギを守衛室に返しに行っちゃあ、守衛さんに「怖くない?」とか「女一人で大丈夫?」などと声を掛けられていました。

その建物の見回りには、例え若い守衛さんでも一人では絶対行かないとのこと。
私は、そんな話を「面白いなー」と聞き流すだけでした。

季節は冬でした。
事務所には石油ストーブが焚かれるような寒い日でした。
ストーブ用の空の灯油缶が出入り口の脇に置いてあり、私の席はその出入り口の近くでした。
一人で残るので火は使えず、私は寒い中いつものように残業していました。

事務所内の花台には、その季節には珍しいピンクのチューリップが、ガラスの花瓶に束にして生けてありました。

仕事は二時間もすれば終わりそうでした。
机に向かって黙々と事務をこなしていると、急に「ひゅんっ、ひゅんっ」と顔の前を何かが横切った感じがしました。
どこからか隙間風が入ったようで、風が髪を揺らしたようです。
私は中断された様な気がして「あーあー」と思いましたが、そのまま小休止することにしました。

温かい飲み物を入れて、すきま風の元を捜しました。
古い建物でしたし、他の職員が換気ために窓を少し開けたまま帰ったのかもしれないと思って・・・。

でも、窓は全部閉まっています。
私は「古い建物だからなー」と納得して、仕事に戻りました。

暫くすると、今度は出入り口に置いてある灯油缶が「ガンッ、ガンッ、ガンッ」といきなり鳴りました。
缶を叩くような音には流石に驚いてなに?と缶の方を見ましたが、別段変わったことは無し。
その時も、「多分室温の変化のせいで、缶が鳴ったんだろう。きっとよくあることだよね。」などと思いそのまま仕事を続けました。

しかし、ほどなくして今度は背後から「バサッバサバササーー」と書類の落ちる音がしました。
多忙なその職場は、机の上が雑然とした人が多かったので、時々書類が『雪崩』を起こすのです。

「しょうがないなー」と思いながらも、拾っておいてやろうと席を立ちました。
けれど、書類なんて落ちていないのです。
隅々まで捜しましたが、書類なんて落ちていないのです。

「あっれー?」

少々怖くなってきて、イライラした私は、室内書庫の中まで捜しました。
が、落っこちた書類は見つかりませんでした。
「疲れてるのかな?」と思いつつも、仕事が気になり席に戻りました。

新しい書類を出し、記入しようとしたらまた「ひゅんっひゅんっ」と風が目の前を横切るのです。
怖いのと仕事に集中できないのと、仕事が進まないので私はイライラしていました(正直、じわりと怖くなってはいましたが。)。

その時、ふと思いついたことがありました。

当時、世間はオカルトブームで、霊能者とかぎ○愛子さんなどがテレビの特番で活躍されていた頃です。(「貴方の知らない世界」とか心霊特番が結構受けていた頃です。)

私も時々お昼に同僚と特番を見ていたのですが、番組の中で霊能者が霊に向かって問いかけるシーンがよくありました。
それを思い出して、思わず心の中で問いかけたのです。

「もし、私を邪魔する何かがここにいるんだったら、あのチューリップを一本だけ揺らしてみ」

・・・でも、こんな事を問いかける自分に益々イライラした私は、ペンを置いてちょっとだけ机周りを整えよう、一息つこう、と机に目を落とし、出しっぱなしの本などを机上の本立てスペースへ戻しました。

その時、何か変な感じがしたのです。

ふっと視線をそのまま机の先にやると、なんとあのチューリップが揺れているのです。

しかも、束の真ん中の一本だけが。「すきま風が」では説明の付かない光景でした。
私は暫く「びよーん、びよーん」と揺れるチューリップを見ていました。

「こんな事もあるもんだなぁ」と妙に感心してしまい、今度は「じゃあ、私、仕事があるから邪魔しないでくれる?邪魔しないなら、チューリップを止めて」と頼んでみました。
正直「すきま風説」がまだ頭の中に有りましたので、きっと止るだろうと思って。

・・・でも、止らなかったのです。
ということは、邪魔されるということですよね?

私は残業を諦めて、帰ることにしました。
でも、気味が悪かったので「帰るから止めて」って慌てて問いかけてみました。

すると、暫く揺れていた花は、その動きを次第に緩やかにして止まったのです。
もちろん、私はとっとと帰宅しました。
守衛室に行く途中、怖くないように歌でも歌おうと思ったのですが、限って思い出すのは賛美歌ばかりでした・・・。

結局、次の日は早朝出勤をしてやり残した分を仕上げなければいけませんでした。(コレが一番怖かった)
そして書類が落ちてなかったか確認しましたが、落ちてませんでした。

この職場では他にも不思議なことがあったのですが、残業中にあった怖いというよりは不可解な出来事は以上です。

あまり怖い話ではありませんでしたが、残業の息抜きにはなれば幸いです。

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