赤線

じゃ、10年前に聞いた全然怖くない話。

季節は夏も終わろうとしている頃。
出張で、出雲崎のとある二階建て木造旅館に、男女数人で泊まることになった。

男女は当然、二階の別々の部屋に。
仕事の後ゆえ、全員疲れていたので、少し休憩してから晩飯を取ることにした。
食事は一階の食堂で、一同会して取る。

食事の時間となり、一同集まったが、女性一人だけ遅れて食堂にやってきた。
彼女は湯上りの風情で、だるそうな様子だった。

食事が一段落すると、彼女が私に、「妙な話なんですけど、笑わないで下さい」と。
「はあ?」と私。

女性:「入浴前に仮眠をとったんですけど、部屋に出たんです」
私:「なにが」

女性:「幽霊だ、と思う。寝てたら、急に動けなくなって、誰かが私の身体を触りまくるんです」

一同、彼女を見つめた後、顔を見合す。
彼女が仮眠をとってた時間には、全員、既に食堂にいたからだ。
海水浴シーズンも既に終わり、その日は私達以外の客はいない。

「変質者か?」と、私。
彼女「姿は見えないんですけど、気配と触られている感触があったんです」と。

夢でも見たんだろうと思って、その場は何事も無く、翌朝その旅館を発った。

後日、たまたま、出雲崎出身の知人との会話でその旅館の話題が出た。
そこで、彼女の話が理解できたような気がした。

知人は言った。
知人:「ああ、あそこね。昔、赤線だったらしいよ。建物はそのままなんだ」

赤線とは昔の売春宿のこと。

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