そのバックに入れたいモノ

カテゴリー「心霊・幽霊」

夕方買い物で近所のホームセンターに行った時の話。

ぶらぶらと棚の商品を見て回っていると、喋り声が聞こえた。
どうやら男が店員に商品のバッグについて問い合わせているようだ。
それにしても長いこと話してるな・・・と聞き耳を立てると理由が分かってきた。

男はすごい吃音で、なおかつちょっと精神的にアレっぽいようで同じことを何度も話してる。
店員の方を覗き見ると、かなりゲンナリしている。
そりゃ吃音で池沼とくれば金貰ってもあまり相手をしたくない相手だ。

ただ、ギャラリーとしてはこんないい暇潰しはない。
彼らの会話を暫く観察してみることにした。

「こ・・・こ・・・こ・・・こは、い・・・い・・・いつがて・・・て・・・定休日なんで・・・で・・・すー?」

男の方は終始こんな感じ。
何が怖いんだ?ぐらいにどもる。

どうやらバッグを買おうか悩んでいるが母親用らしく、聞いてから買うか悩んでいるようだ。
おまけにそのバッグが最後の1つなので更に悩んでしまっているようだ。

「お取り置きは当店では原則できませんので。お買い求めして頂くか・・・」

店員はこのセリフを覗き見を始めてから10回は言ってる。
男の話はほぼ聞き流し。
半分後ろを向いて商品整理をしている。

「んーーや・・・や・・・やっぱ、お・・・お・・・お母さん・・・き・・・きーてからが、いい・・・いいの・・・かな?」

男は見た感じ50前後。
お母さんって人前で言うような年かよって感じだ。

「そう思われるなら、その方がいいですよ」

店員、完全に追い出しモード。

そこでちょっと違和感を感じた。
バッグが妙に大きくて若々しい感じなのだ。
50の男の母親じゃ完全に年寄りだ。
婆さんに持たすにはデザインの違和感はさておき大きすぎる。
夜逃げでもするのか?ってくらいデカい。

そこで気がついた。
これは母親のために買ってるんじゃないのではないか?

「すいません、ちょっと・・・」

店員は他の客に呼ばれ立ち去った。
顔には安堵感が露わだった。

一人残された男はバッグを持ちながらつぶやいていた。

「や・・・や・・・やっぱ、お・・・お母さんき・・・き・・・てからじゃないと分からないよな・・・きってから・・・にし・・・しようかな」

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