昔、一度だけ見たことがある。
いつ、どこでなのかは覚えていないが、体験だけは覚えている。
俺がかなり小さいころだったから、10年は前の話。
そのころ、夏休みや大型連休となると必ずと言っていいほど、両親と俺と弟の4人、家族で旅行によく行った。
で、体験の舞台はある旅館だった。
部屋の中でその日を過ごし、やがて寝ようという時刻。
俺と弟は親よりも早く布団に入ってた。
そのあと寝付けないこともなく就寝。
ふと、俺は夜中に目が覚めた。
電気がついていなかったから、親ももう寝たんだな・・・と思った。
それで寝た体制のまま周囲を見ると、異常なのが目に飛び込んできた。
天井。
そこに、女がぺったりと張り付いている・・・。
床に寝転がってるように、大の字で天井に張り付いていた。
服は真っ白。
ガウンというか・・・ローブみたいな感じだった。
顔も見えた。
でも確実に知らない人だった。
俺、その女の人見つめながら思ったんだ。
「・・・・・・なにしてるんだろう?」って。
小さなガキの俺様様だったw
その時は不思議と怖くなかったんだ。
『幽霊の恐怖』ってのを理解してなかったんだと思う。
逆に今の俺が見てしまったらと思うとそれこそガクブル。
で、俺は知らないうちにまた寝ちゃったみたいで。
目を覚ましたら朝になってて、親は既に起きてた。
親にその女の人を見たことを話したけど、信じてくれなかった。
で、最近不意に思い出して、また話してみた。
でもやっぱり信じてくれなかった。
親も弟も。
今後も旅行に行ったりはしたいけど、遭遇はしたくないな。
あ、そうそう。
今思い返すと、夜中の部屋の中、うす明るかったんだ。
豆電球のオレンジ風の色じゃなく、ちょっと青っぽい感じの。
窓の外から街灯か何かの光が入ってきてたとかならまだしも、本当に幽霊ってぼんやり光を発するのか?