※このお話には【前編】があります。
そうこうしているうちに、バイト先から電話がきた。
事情も説明しなきゃならないし、と電話に出て、ひたすら謝り倒す。
「今日はもう無理です、行けません」、と言い続けたときに、電話先の先輩が「○○(私)?○○以外の女の人の声で聞こえないよ!どうしたの!!!」と言う。
他の人の声?
まただ。
でも、ビルの隙間。
私以外の声なんか入るはずがない。
そう言われ、声が出なくなった。
涙も止まらない。
そしたら、急にスマホの充電がなくなった。
家をでる直前まで充電してたのに、画面には「充電がなくなりました、シャットダウンします」みたいな文字。
でもその画面もオカシイ。
文字が乱れてる。
こんなバグは初めてだった。
薄暗いビルの隙間に耐えられなくなって、その某ファストフードの店に入って母を待った。
待ってる間、耳元で誰かがしゃべってる。
怖くて、泣きながら母を待つ。
10分ほどして、母がくると、父の実家から送られてきた水晶のブレスレットと、水を私に渡す。
母:「いますぐ飲みきりなさい」
母は私に怒鳴って、震える手でタンブラーに入った水を飲み干す。
ちょっと塩辛い。
飲み干すと、母は私を無理矢理ファストフード店から出し車道まで出ると私に向けて大量の塩をぶちまけた。
目に入って痛かった・・・とにかく、痛くてまた泣く。
人通りの多い道だからもちろん周りはポカン。
立ち止まる人もいた。
それでも、耳元でのしゃべり声はなくなった。
そんで家にタクシーで帰って、玄関で待ち構えていた父に怒鳴られる。
父:「明日必ずお祓いに行け。なんてもんを連れてかえってきたんだ!」
まだいるのか、と思いつつ、私は頷いて、少しだけ寝ようと母の布団に潜り込んだ。
私の部屋は霊の溜まり場所だし、隣人が自殺した部屋に面してたから、部屋に入る気になんてなれなかった。
少しウトウトしはじめて、何気なく窓の外を見た。
いる、あの人が。
でも割と冷静で、参ったなぁ、どうしよう、なんて思いながらちょっとだけ効いてきた睡眠薬につられて眠った。
それでも、深夜のバイトがあるから、深夜の別のバイトに向かう。
そのころにはすっかり心が晴れて、気持ちよくバイトをしてた。
バイトが終わって、3時過ぎに家に帰ってきた。
うちは5階だから5階までエレベーター使って、外にある廊下を歩く。
そのとき、感じたことのない違和感を覚えた。
5階から見下ろすと公園があるんだけど、いるんだなぁ、そこに。
あの女性が立ってる。
しかもこっちを見ながら。
慌てて部屋に入って、母の隣に潜り込んだ。
いま、ここ。
みんな寝てるはずなのに、リビングに誰かいる。
参った。
私は明日お祓い行きます。