病院にあった人形を預かった

カテゴリー「心霊・幽霊」

不気味っていうか奇妙な話。

子供の頃大学病院に入院してた事がある。

小児科病棟で六人部屋、赤ちゃん(男児)が二人、小学生(女児)が一人、それから中学生の自分の五人で使ってた。
何かその小児科は色々不思議な事が起こってたんだけど、その中でもダントツ不思議な話。

その小児科にはプレイルームっていう子供の為のおもちゃやらアニメのビデオやらがたくさんある部屋があった。
部屋といっても扉もないし仕切りもなくて空間みたいな感じ。

正直、中学生の自分が遊べる様なものは何もなかったんだけど、中学生や小学生の子でも長期入院が決まってる子達はみんな病院内の学校に通ってたし、小さい子の面倒を見るのも好きだったから、自分はいつも小さな子達とそのプレイルームで遊んでいた。

で、そのプレイルームには病院が買ったおもちゃとかもあるんだけど、大抵のものが過去に入院してた人達が置いていったものとか寄付したものらしいんだよね。
だから使い古されたおもちゃとか壊れかけのおもちゃとかもたくさんあるんだよ。

で、ここからが本題なんだけど、その日もいつもの様にプレイルームで遊んでいたら三歳の女の子がどこからかディ●ニーの黄色い熊の人形を引っ張り出して遊んでいた。
手足とかにボタンがあって、それを押したり手拍子の音に反応してしゃべったり歌ったりするやつな。

子供って音が出るおもちゃ大好きだから特に気にもならず、三歳でもなんとなく会話が出来るから人形に話し掛けてても何も不思議に思ってなかった。

でもその女の子が人形を持ってこっちに来てビックリw

高い声で「あたしカオーリ(仮名)、よろしくね!」ってしゃべるんだよ。

おかしくない?見るからにディ●ニーの黄色い熊がカオーリってなんだよ、ってなるじゃん。

何これこわいと思いながらボタンを押すとやっぱりあの変わった声で「ハチミツ食べたい~」とか言うんだよね。

自分からすればこの時点で不気味で仕方ないんだけど、小さい子はそれが分からないのか楽しそうにしてんの。

「あなたの名前はなあに?」

とか聞いてくんの、それに子供が答えると「**ちゃんっていうんだね~」って受け答え出来てんの。

自分はとにかくこわくなって、その人形を持って近くにいた子供の母親とか看護師にその人形を見せたんだ。

そしたらやっぱり「あたしカオーリ、あなたの名前は?」とかしゃべってんの。

大人達もさすがに怖くなって、その人形をどうしようってなったらしい。

で、その結果、同室の赤ちゃん(男児)の母親(Aさん)の家が神社だか寺だか忘れたけど、その筋に長けているから明日にでも持って帰るって話に。
明日までは自分の部屋で預かるって事になったんだけど、それはつまり自分の部屋でもあるからもう本当勘弁してくれよって思った。

Aさんは「大丈夫、悪い事はしない」って言うけど、こっちからすれば悪い事をするとかじゃなくてしゃべるってだけでこわいんだよ!・・・と言える訳もなくて、結局一日だけなら、と了承。

その晩、特に何も変わった事はなくて普通に寝てたんだけど、朝一「ねえカオーリと遊んで!遊んで!」という声で起こされた。

しかもボタンを押さなくても音に反応するおもちゃだからって寝る前に電池抜いてたんだよね。

それまでは心のどこかで壊れてるだけかそういうおもちゃなんだって言い聞かせてたけど、その希望も打ち砕かれて半泣きで「お願いだからすぐ持って行って!」と頼み込んだ。

その後Aさんに「恐い思いをさせてごめん、でもあの中の子はアンタに懐いてたから側に置いておかないと何をするか分からなかった」と言われヒイイイイとなった。

Aさんいわく、プレイルームで子供の面倒を見ている自分を気に入ったらしく家に持って帰る時もずっと自分の名前を呼んでいたらしい。

「縁が出来てしまったけど、悪い子ではないからいつか恩返しに来るかもねw」なんて言われてさらにヒイイイとなった。

で、数年後、とある趣味を通じて知り合って仲良くなった子がいて、HNでずっと呼び合っててオフでも遊ぶくらい仲良くなってから本名を聞いてビックリ。

カオーリだったwwwカオリじゃなくてカオーリ。

生粋の日本人で漢字の名前なのに読み方がカオーリってちゃんと戸籍とかにも「ー」を入れてある名前。

その子はもちろん、入院してた事も人形の事も知らないし電波でもなく本当に普通の子なんだけど、たびたびお世話になったし、本当に色んな事で助けて貰って恩返しってまさか・・・と思っているが年上なので生まれ変わりとかではないだろうw

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