父の話です。
去年の冬頃、父が夜中にレンタルビデオを返しに行った。
帰ってくると今さっき可愛い女の子に会ったと言う。
こんな夜中に出歩くなんて危ない子が居るなぁ・・・と話を聞いているとまたおかしい。
内容はこうだ。
自宅付近は寂びれた古い住宅街なので、夜中は車や人影が少ない。
なのに歩道に高校生くらいの女の子が居たらしい。
背を向けて歩道の草むらに手を突っ込んでしゃがみ、何かを探しているような格好・・・。
それが横断歩道の脇だったので、ちょうど赤になった信号で車を止める父。
父:「キミ、何してるの?」
何となく話し掛けた。
女:「探し物」
振り向きもせず女の子は答えたそうだ。
父:「何を?」
女:「ボール。ここで無くしたから」
父:「そうか。でも遅いから早く帰らないとなぁ」
女:「わかった」
父:「気を付けなよ」
信号が青になり車を発進させた。
バックミラーで確認したが、女の子は見えなくなるまで草むらをガサガサやっていたらしい。
父:「可愛い子だったぞ」
私:「は?振り向いてないのに何で可愛い子だったって言えるの?」
父:「それがな・・・」
話には続きがあった。
帰ってきた父が駐車場に車を止めた。(自宅から駐車場は少し離れてる)
車から降りると、20mくらい離れた場所にの女の子が立っている。
服装と髪型からしてさっきの子だ。
その子は不思議そうにしている父の顔を見ると、にっこり笑って走って行ってしまったそうだ。
おかしいよね、車と同じスピードで付いてくるなんて。
私:「・・・それ幽霊だよ」
父:「何言ってるんだ、あんな可愛い子が幽霊なわけない」
幽霊はみんな血塗れだと思ったら間違いだよ、父。
馬鹿父です。
とりあえず何も拾ってこないようにしてほしいな。