知り合いの話。
彼はかつて漢方薬の買い付けの為、中国の奥地に入り込んでいたことがあるという。
その時に何度か不思議なことを見聞きしたらしい。
彼:「とある山奥の里で耳にした噂ですけどね。その付近には、一風変わった技術を持った一族がいたのだそうです。どんな技術ですかって?人を襲って喰らう動物、いわゆる“人喰い”を育てる技術です。」
彼:「似たような話は他所でも聞いたことがありますが、そこのはまた強烈でした。本来は人を捕食しない生き物ばかりを、人喰いに仕立て上げていたというのです。山羊とか馬とか、草食の動物ばかりが選ばれていたとか。仮にそれらが人を食べたとしても、まず消化は出来ないでしょうから、実際には人を噛み殺すだけ、というレベルの“人喰い”でしょうけど。そのようなモノを作る目的は、まぁ詮索しないのが身の為でしょうね」
彼:「伝わる話では、非常に珍しい生薬を用いていたと言われます。でもまぁ聞く限り、珍しいといっても手に入らないような薬ではないのですが。その薬が取引されたという話を聞く度に、一族の者はまだどこかにいるのでは・・・そんなことをふと思いましたよ」
流石中国、色々と不思議な話があるものだなぁ。
呆れ且つ感心した私だった。