黒い影で思い出したんで書いてみる。
20年以上前にその時住んでいた一軒家での話。
当時、小学生だった自分は広い部屋を高い棚で仕切って弟と二人で子供部屋として使っていたんだ。
ドアがちょうど部屋を半分にした位置にあり、出入口は共同だけど、棚で仕切られて半個室のような感じ。
日曜日の午前中でまだ寝ていたんだが、弟のスペースの方から、ブラインドを上げたり下げたりする音が繰り返し聞こえてきて目が覚めた。
ひたすらブラインドを上げ下げし続けているから、イライラしてきて「うるさいぞ!」と注意するとピタッと音は止まった。
その直後、ものすごい勢いでブラインドを激しく上下させる音が鳴り響き始めた。
最初は弟の仕業だと思っていたが、あまりの異様さに布団の中で様子を伺い、その頃には完全に覚醒していた。
激しいブラインドの音が急に止み、窓が勢いよく開けられた。
力任せにサッシを開け放したようで、「パーン」という音がし、注意した自分にしらしめるかのように「ドンッ、ドンッ、ドンッ」と部屋を歩く音。
部屋のドアは開いていて、ちょうど棚とつながり向こう側は全く見えない。
蝶つがいで繋がっている、ドアと壁の隙間から真っ黒な人影が出て行くのが見えた。
人が歩く際の手を振り、足を動かしている様が伺えた。
しばらく呆然としていたが、その時はまだ家族の誰かだと思いそれ程怖くもなく、弟側の部屋を見に行くと半分だけ開けられたブラインドと、力任せに開けた反動のせいだろう閉まりかけの中途半端に開いた窓。
外はすごく天気が良く、日の光が差し込んでいる。
下の階に行って母親にその話をすると、父親は休日出勤、弟はサッカーの朝練で早くから外出しており、母親は起床してから二階には上がっていないと言う。
母親が非常に怖がって階段に塩をもっていた。
大人になってから聞いたが、その家では両親共に金縛りや誰も居ないはずなのに、物音に悩まされていたそうだ。
今では怖い体験や心霊的なものを感じることもなく過ごしている。
寝ぼけた状態の脳が作り出したものだと思うようにしてるが、たまに思い出してゾッとする。