を言われる始末。
私はまったくイミフでした。
一体何があったのか聞いてみたところによると、以下。
「上の押入れから、ヤバイのが出てきて、私の耳元でずぅーっと囁いてた」
「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね」
「私の男に触るな」
と言ったような内容だったと思います。
詳細はうろ覚えなので何とも言えませんが、兎に角、彼女が言うには、この部屋には『私』を気に入っている『ヤバイ女の霊』が棲みついているようです。
私は霊感なんて持ち合わせていませんし、彼女の言っていることも、眉唾ものだとその時は思っていました。
しかし、私の常識を覆すような、恐ろしい事態が二件発生したのです。
一つ目。
「置くだけでもいいからやりなさい!」と怒られて、押入れの中に盛り塩を作っておきました。
めんどくさいが半分、彼女の精神が落ち着くならいいやというのが半分でした。
冬なので、寒い寒い言いながら、盛り塩を押入れに設置して次の日の事です。
押入れを開けたら、盛り塩が『べちゃべちゃに溶けている』状態でした。
水か何かをぶっかけたように、どろっとしていて、緑色?の良く分からない粉のようなものがついていたのを覚えています。
この時ばかりは流石にびびりました。
とりあえず、押入れに蹴りを入れるのはもうやめようと心に誓った程度です。
二つ目。
私はとあるご縁で、特別養護老人ホームのお手伝いをする時がありました。
多くの利用者さんが認知症を患っていますので、気の抜けない場所と身構えていましたが、意外に話が通じる、優しい利用者さんが多くて、肩を撫で下ろしました。
ですが、その中でも数名の利用者さんに、まったく同じことを言われ、泣きそうになったことがあります。
「○○さん、今日もお子さんを連れてきていらっしゃるのねぇ」
「ぇ、いえ、私は未婚ですし、子どもなんて居ないじゃないですか」
「いえ、ほら、あなたの袖を握ってる、赤い服の女の子のことよぉ」
上記のやりとりは鮮烈に覚えています。
多分、利用者さん五名くらいに同じこと言われました。
その物件には三年ほど住んでいたのですが、基本的には私はノーダメージ。
彼女は「絶対にロフトには上がらない」との一点張り。
そうこうしているうちに、就職先が決まり、新たに引っ越しをしました。
引っ越し祝いで、少し豪勢な夕食をしていた時、彼女がポツリと呟きました、
「本当、あの家やばかった。ここに越してきて助かったよ~」と。
私はかねてから聞いてみたかったので、実際あのアパートはどれくらいのヤバさなんだと訊ねてみました。
彼女曰く「十段階評価で九もちろんヤバイって意味で。なんの怪我もしなかったのが奇跡レベル」だそうです。
特に何があったとか、起きていたとか聞き及んでいませんが、どうにも場所が悪いとか云々言っていた気がします。
しかし、そんな場所で何故私が無事だったのか疑問に思ったので、理由を訊ねてみました。
彼女曰く、なんでも私には悪霊も目を逸らすレベルの守護霊がついているそうです。
正直に言って、なんじゃそりゃ?な話ですし、怪奇現象の解決には至っていません。
西東京で、他の部屋と比較して二万円くらい家賃が違う角部屋を見つけたら、一応のご用心を。
というところで、お話を終わらせて頂きます。
お目汚し失礼いたしました。