おかしくなった奥さん、人形を配る

カテゴリー「都市伝説」

とある夫婦の話になります。
途中までは良くある話なので、まとめると初めは仲が良かった夫婦、子供が産まれてからは浮気を繰り返す夫。
そして、次第に夫婦関係が崩壊する。
そんな良くある話です。
そして王道の流れで子供が亡くなります。

しかし、夫婦は離婚せず再構築を選びました。
深刻なダメージを受けた奥さんは変わりました。

明るくて清楚だったのですが、その面影はありません。
そして、いつの日か人形作りを始めました。
その人形を作って、亡くなった子供の代用にしたのです。

そこから奥さんはまた元気になりました。
奥さんは人形を作り続け、あろう事かそれを近所に配り始めました。
人形を人のように扱い、どこか壊れてしまった奥さんを周囲は気味悪がって受け取ることを拒否しました。
当たり前と言えば当たり前です。

ある日、奥さんからクマのぬいぐるみをもらった子供がいました。
近所の人も、まあクマのぬいぐるみならいいかなと思ったみたいです。
ゲームセンターであるような、普通のぬいぐるみだったそうです。

しかし、そこからその家に怪異が始まりました。
家の中でバタバタと走り回る音が聞こえてくるのです。
そして、子供が「ちーくん」と遊び始めました。

流石に怖くなったので、それを周囲に話すと、回り回ってその旦那さんの耳にも入りました。
旦那さんは家まで伺い、ぬいぐるみを引き取りに行きました。

その日は子供は大泣きし、何とか説得して引き取ることができました。
旦那さんはどうしてもぬいぐるみを引き取りたかったみたいでした。

後から聞いた話では、「ちーくん」は、子供が自分の事を呼ぶ時に言っていたようです。
舌足らずで、自分の名前をはっきり話せなかったようで、その夫婦はそんな呼び方をしていなかったので、どうやって接点のなかった近所の子供が知ることができたのかと、旦那さんはゾッとしたみたいです。

そして、ぬいぐるみに違和感を覚え、中の綿を取り出すと、奥さんが作った人形が入れられていたみたいでした。

その人形、亡くなった子供の髪の毛と遺灰が混ぜられて作られていたようで、遺骨の中身はほぼ空っぽになっていたとか。

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