バックミラーでその車を見たくなかった

カテゴリー「心霊・幽霊」

今日なんとなくいつもと違う道を走ってみるかと思い、回り道をした。

県境にある車がやっと1台通れる程度の細くてぐねぐねした山道に入り込んでしまった。

一応アスファルトの道なんだけど、所々ガードレールがなく、道から踏み外したらそのまま斜面から転落してしまいそうな道。

対向車が来てないかカーブミラーを見ながら慎重に走っていた。
しばらく走って上り坂から下り坂になったぐらいの時、後ろから黒いワンボックスがついてきているのに気付いた。

こんな山道でも利用する車はいるんだな・・・と思いそのまま前を見て運転に集中することにした。
というかそうしないとヤバかった。
一瞬確認しただけだがその車は明らかに異様だった。

人が異常に沢山乗っていたんだ。
それこそ車に人間を入る限り無理矢理詰め込んだみたいに。

バックミラーで再度確認する勇気はなくて、極力視界に入れないようにしていたんだけど、対向車の確認の為にカーブミラーは見なければならず、嫌でもその車が目に入ってしまう。
ていうか対向車が来たら道路が広くなってる部分で一時停止、最悪あの車に向かってバックしなきゃならない。
そうなったならどうなるかわからないし、絶対に嫌だから対向車来るなって何度も呟きながら車を進めていった。

そのまま30分くらい走り続けて、ようやく山を降りきった。
幸い対向車が来ることもなく二車線ある広めの道路に出ることが出来た。

安堵からほっ、とため息を吐くのと同時、「チッ」という舌打ちが、しかも複数人のが耳元で聞こえた。

心臓が飛び出るほどビックリして、反射的にバックミラーを確認したら、さっきまで後ろに着いてきていた黒いワンボックスの姿は無くなっていた。
途中で横に抜けれる道なんて無かった筈なのに・・・。

ふだんやらない回り道なんてするもんじゃないね・・・。

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