俺自衛官だけど、夜間に山越えする行軍演習とかあるのね。
ある時、中隊長から何があっても振り向くな、前を見てろと命令があって、は?と思ったのも束の間、視界の右側の隅に何かが入ってきたのね。
暗闇で、周囲の森は暗闇としか見えないのに、その何かは色がわかるのね。
帝国陸軍の部隊が俺らの部隊の横を行軍してるの。
自衛隊が出来る前から同じ所に陸軍の駐屯地があって、演習場も陸軍が使ってたのね。
必死に前だけ見て歩き続けて、しばらくしたら陸軍の部隊は消えた。
駐屯地に帰ったらその話題になって、みんな「見た」と言って、あれは本当だったんだと思ったよ。
こうやって書くと怖くないけど、実際はすごまじく怖かった。