徘徊老人かな?

AV仕様の最強媚薬・エロティカセブン

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山といっても、国道で、本線の裏道のような道路でのお話。
そこは確かに国道なのだが、整備もあまりされておらず、崩落がこの間も起きて通行止めになるような場所だった。

そこには戦後間もなくくらいに掘られたトンネルが2か所あり、いかにも手掘りという感じで、幅もなく、明かりすらなく、車のヘッドライトでかすかに見える壁はボコボコ。
結露した部分が人の影のようにも見える、不気味なトンネルだった。

私の友人にもそこへ行ったやつがいる。
そいつはスキーの帰りだったが、初めて行くゲレンデで帰り道で迷ってしまい、やむなくそこの山道を走ることになったようだ。

最初のトンネルの前で信号に引っかかった、狭すぎるので交互通行なのだ。
正面の暗闇の中に白い服を着た老人が歩いていた。
手には草刈りの鎌のようなものを携えている。

友人:「・・・今、夜中の2時だぞ?」

怪訝に思いながら、見ていると信号が青になった。

友人:「徘徊老人かな。」

そう思い、徐行して脇を通り過ぎる。

2つ目のトンネルに差し掛かる。
ギリギリのところでまた信号に止められる。
2つ目のトンネルは直角のカーブのすぐあとに配置されていて、待っている間は中が見えない。

カーステレオにノイズが入り始めた。

『では、つぎのザザザです、ザザザザ東京都練馬区にお住まザザザザ』

信号が青に変わる。

トンネルの中にはまた白い服の、しかし今度は若い女性と小さな女の子が手をつないで歩いている。

『ザーザザザ・・・からのお便ザザザザザー』

友人:「トンネルの中だからなー。このハンドルネームの投稿者さんのお話は面白いのにな。」

友人はこの時間に放送されるラジオ番組を風呂上がりに聞くのが好きだった。
今日はスキーの帰り道にカーステレオで聴くはめになってしまった。

友人:「ナビ付きのレンタカーにしとけば良かった。」

トンネルが細いため、手をつないで二列の人たちを追い抜くことができず、ノロノロと後ろをついていく。

トンネルを抜けたところに一つだけ街灯が立っている。
その下に女性と女の子が差しかかると、トランクからゴトゴトと車が揺れるほどすごい音がした。

友人は振り返る。

異常はない・・・。
ふぅ、とため息とともに前を見ると、女性と女の子が軽く会釈をして車を促した。

俯いたままで表情は見えなかったが、なんの感情もないようだった。

友人は正義感の強いやつで、今は警察官をやっているくらいだ。
たまりかねて声をかけた。

友人:「あの、もしよければこの先の○○市まで送りましょうか?」

あんな冬の山の中、市内まではまだ十数キロある。
しかし女性達は首をゆっくり横に振る。

友人:「でも、危ないですよ、こんな夜中に女性二人で、そちらの小さな女の子の事もありますから。」

すると女性がヒタヒタとこちらに歩いてくる。
素足のようだ。
友人はこの時気づいた。
声をかけるべき人間じゃなかったと・・・。
女性は頭をゆっくりと運転席に寄せて、小さな声でこう言った。

女性:「ありがとう、でも、この先には行っちゃダメ。引き返して、戻れなくなる。」

女性は顔の左半分がただれていた。
友人はビックリして、あわあわ言っていると、助手席から声が聞こえた。

「この際乗せていってもらおうじゃねえかい。」

1つ目のトンネルで見かけた老人だとすぐに気付いた。

老人は完全な白目をむいている。
女性と老人が数分睨みあう。
友人は金縛りのように動けなかった・・・。
そして耐えかねて車を急発進させる。

細いうえに急カーブが続く道、半ば決死の覚悟で車を飛ばす。

『ザザザザザザザーッ!』

カーステレオの音が響く。

『キキーッ!』

急ブレーキを掛けた。
周囲は深い霧に覆われたなか、友人はそこにあるはずのない3つ目のトンネルを見た。

老人:「ずいぶん荒い運転だったわいな。」

ドアも開けていないのに外に出る老人。
そしてトンネルに入る直前に、「あんたもこいやぁ、、、」と手招きをした。

ふわりと何かが運転席をかすめる。
さっきの2人だった。

小さな女の子が老人の手を引き、トンネルに入るように促す。

老人は舌打ちをしながらトンネルに入って行く。
トンネルに入った瞬間、老人と女の子が消えてしまった。

女性だけが残り、友人に向かって囁く。

女性:「ここから先は異界の門。進んだら戻ってこれません。こんな深い所まで来てしまったから戻れるか分かりませんが、引き返してください。」

そして、今度は深々と頭を下げる。
そしてつぶやく。

女性:「貴方の温情は忘れません。さぁ、早く。」

狭い道だったが、反転すると、一目散に来た道を引き返す友人。

何もかもがおかしくなっていた・・・。

スピードメーターは振り切れたままだし、車内時計は59:92とか、あり得ない数字。
携帯からは聞いたことのない着信音。

細い道には既に白い服を着た人の行列。
皆一様に下を向き、怪我をしたような人もいれば、泣いているような人もいる。

『ザザザ・・・ザ・・ザ、プツ!』

ラジオからのノイズが止んだ。

「うー・・・」

唸り声のようなものが聞こえた後、琵琶のような弦楽器の音が聞こえてきた。
そして、2つ目のトンネルが見えた。

「戻ってきた!」と思ったところで車が急に止まってしまう。

琵琶の音は大きくなる。

友人:「おかしい、ガス欠じゃないし・・・」

メーターはさっきからあてにならないが、エンジンは掛っている。

タイヤもスピンしている。

友人:「溝にでもハマったのか?」

バックミラーを見ると、無数の白い服の人間が迫ってきている。
まるで引き返すことは相ならん!というかのように鬼の表情だった。

友人:「最初からあの女性の言うことを聞いとけばよかった。。。」

そう思った瞬間何かに押されるように車が脱出した。

トンネルに近づくと、『ザッザザザ、さんのおはなザザザザ面白かったですねぇ』とカーステレオから、いつものラジオ番組の軽快な音楽とともに、DJの声が聞こえる。

友人:「もう少しだ!」

トンネルに入り、バックミラーを見ると、両手を広げて無数の亡者たちを止めている一人の女性の姿があった。

友人はそこから1時間かけてコンビニまで逃げてきた。

そして、私に電話をかけて来た。
有料道路を通る金を貸して欲しいから、どこどこのコンビニまで来てくれと。
そして、そこのコンビニでこの話を聞いたのだ。

私はスキー場でいたずらされたのかと思ったが、車のリア付近は引っかき傷と、手形が無数についていたらしい。

私にはスキー場を出るときは何もなかったと言っている。
だが、車を借りたレンタカーにはいたずらされたということにして、弁償は免れたらしい。

その後友人には何事もないが、その頃から、その山に白い服を着て2つ目のトンネル前を徘徊する、顔の半分ただれた白い女の霊が何度となく目撃されるようになった。

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