”それ”は私自身

カテゴリー「不思議体験」

話は私が小学校の頃に遡ります・・・。

当時、高学年だった私はしょっちゅう忘れ物をしたものでした。

そんなある日・・・。

私は図工の作品を完成させるため持って帰って来たものの・・・なぜかその作品の一部が無くなっているのに気付いきました。

学校までも遠かったし、普段から面倒臭がりな私は、そんな些細な事ならほったらかす・・・。
というか例えそれ明日が宿題の期限だとしても、ほったらかすような人間だったのですが、なぜかそれが気になって、しょうがなかった。

6時までしか校舎は開放されていないのを知っていたので、急いで学校に向かいました。

もう6時近くになりやっと学校に着いた。

学校に着いて気付いたのだが、夕焼けが分厚い曇に覆われて、不気味な紫色になっていて、周囲はいつもより明らかに暗く、不気味状況だったのを鮮明に覚えている。

すると、ちょうど先生が校舎の出入口を閉めている所だった。

先生にわけを話してなんとか校舎に入れてもらった。
私は入って早々後悔した・・・。

そこは人気が全くなく・・・真っ暗で静まりかえった空間だったからだ。

元々学校は木造の古い学校だった。
床はひどく痛んでいて、歩けばギシギシ音がなった。

図工室は三階から第二校舎に向かい、その奥にある教室だ・・・。

第二校舎は昔は普通の教室だったみたいで、普段から人気は無く、大半は倉庫みたいにして使われていた。

外の天気は荒れだしていた。
窓は風でガタガタ音を立てていた・・・。

暗闇に目も慣れてきて第二校舎の三階にたどり着いた時だった。
校舎の中なのに私の方に向かって風が吹いていた。

ガタガタ窓の揺れる音は気付いたら無くなっていた。

聞こえるのは自分の足音だけ・・・。
風に向かい図工室に向かう。

・・・ギシギシ・・・。

ぞくッッッッ!!

と悪寒を感じると同時に後ろに気配を感じた。

振り返れなかった・・・。
気配だけじゃなかった・・・。
ギシギシ音も聞こえた。

「うわぁーッッッッ!!!」

叫んで、とにかく逃げた。

その足音も私を追い掛けて来ていた・・・。

と、突然強風が吹いて、尻もちをついてしまった。

肩に、すぅ・・・っと、手らしきを置かれた感じがした。

恐怖のあまりに目をグッとつぶっていたが・・・気が付くと、その手を置かれた感覚もなく、辺りを見回しても何もいなかった・・・。

結局、学校では捜し物は見つからなかった。

学校を出て先生に入って来なかったか聞いたが、ずっと外で待っていたらしい。

トボトボ帰っていると・・・校門の付近で探していた作品の一部を発見した。

「なんだ、帰る途中に落としたんだなぁ・・・」

その時はそう思って片付けた。

時は経ち、そして私は母校の小学校の教師になった。

その昔の出来事は忘れていた。

今月は戸締まりの係になっていた。
最後に学校中を見て周りカギをかける。
鼻唄混じりに、見回りをして回った。

風は強く窓はガタガタ揺れていたが、私にはなんて事はなかった。

時刻は6時ほどになっていた。

気付くと校内は真っ暗になっていた。

三階の第二校舎・・・。

風が吹き込んでいた。

窓を一つ閉め忘れていたかな?と思い廊下が目に入り込んだその時・・・廊下を歩く少年がいた。

「なにやってんだ?」と話しかけたが、反応は無く歩いていたので、小走りで走り寄ると、ダァーッと走り出したので追い掛けていると少年は転んだ。

「大丈夫か?」と話しかけて肩に手をやった時に気付いた・・・。

あの時と同じだ・・・。

私は思わず少年から逃げてしまった。
逃げたが・・・立ち止まり、冷静になって考えると、”ありえない”と思い、少年のとこに戻ったが、少年は既にいなくなっていた。

その出来事が気になってしまい・・・今は倉庫になっている、昔の図工室に入って見た。

部屋に入ると一つ気になった。
いっぱい小物の詰め込まれた段ボールがあり、わけもなく手を突っ込んでみた。
・・・一つだけ掴んで取り出した。

記憶は曖昧だったが・・・”おそらくあの作品の一部だろう・・・”なぜかそう確信を持てた。

私は三階の窓から校門に向かってそれを投げた。

とりあえず、その後、少年を探してまわったが、見付からなかった。

やはりあの少年は私だったのだろうか・・・。

ただの根拠のない不思議体験みたいになってしまいました。

でも、今もその少年は、私自身だったのだと何の根拠もありませんが思っています。

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