バンディアガラの断崖は、マリ共和国のドゴン族居住地域となっている断崖。
その壮観な自然環境と、マルセル・グリオールの紹介によって広く知られるようになったドゴン族の文化が保持されている地域であることから、ユネスコの世界遺産に登録されている。
この断崖の標高差は500mであり、幅は150kmに及んでいる。
この断崖の所々や、断崖の裾野に、ドゴン族はおよそ700の村落を作り、25万人ほどが暮らしている。
ドゴン族がこの地に定住を始めたのは700年ほど前のことである。
それ以前にはテラン族たちの居住地として使われていたが、ドゴン族の流入によって追い出された。
ドゴン族は独自の神話体系を持ち、キリスト教やイスラームに帰依することなく、その神話を強固に保持し続けてきた。
この神話の中には、シリウスに関する非常に高度な知見が含まれているとされ、オーパーツ的な知識として注目されたこともあるが、その後の調査では、ごく一部のドゴン族グループにしかシリウスに関する神話は存在しないことが判明、またそのシリウス神話に関しても、シリウスが連星であることが知られておらず、決して高度な天文知識は含まれていないことが判明している。
このように伝統文化を重んじて集落を営んできたドゴン族だが、都市への人口流出はこの地域にも見られる。
また、観光客が押し寄せることによって、伝統的な儀式の位置づけなども変容しつつあることなどが指摘されている。