12年前の住人

カテゴリー「不思議体験」

当時俺が大学生だった頃の話だ。

アパートの家賃を支払うために深夜にコンビニのアルバイトをしながら大学へ通うのが日課になっていた。
俺に友達はいなかったが彼女は居た。
週末は彼女とデートするのが当たり前になっていた。

そんなある週末の深夜2時頃、彼女とデートをして帰ってきてアパートの階段を上り自分の部屋へ向かっていたら、俺の部屋の前に血まみれの見知らぬ女が立っていた。
俺は焦ったが、階段を下りて遠くから自分の部屋を確認した。
そしたらまだ血まみれの女が俺の部屋の前に立っている。
怖かったが、遠くからその女に「大丈夫ですかー?」と声を掛けてみた。
女の返事は無かった。
俺は階段を上り自分の部屋の近くまで行き、またその女に声をかけたが返事は返ってこなかった。

と思ったら、かなり聞き取りづらい小さな声で何か言っているのが聞こえた。
女に近づくのが怖かったが、俺は恐る恐るその女に近づいた。
そしたらまた何か喋っている。
俺は女に声をかけた。

「大丈夫ですか?救急車呼びましょうか?」

そしたら女は小さな声で何か言っていたが全部は聞き取れず、「・・・ない」と言っているとこだけは聞き取れた。
俺は不思議に思ったが女に「救急車呼んできます」と言って、当時携帯電話が無かったので公衆電話で119番して救急車を呼んだ。
そして急いでアパートまで戻り自分の部屋に向かっていったら女の姿は消えていた。
あんな状態でどこに行ったんだろうと、俺は部屋の周りを探したがいなかった。
それから15分後、救急車がサイレンを鳴らしながらアパートに到着した。
俺は救急隊の人に事情を説明し謝った。
変な日だな~、と思いながらもその日は寝た。

次の日の朝、ドンドンドンと玄関のドアを叩く音がした。
そしたら大家さんだった。
大家さんが「昨日救急車きたけど何かあったの?」と。
とりあえず昨日あった出来事を説明したら急に大家さんの顔が真っ青になり「そんな事があったの」と言い、戻っていった。
大家さんは何か知っていると思った俺は、時間を置いてその日の夕方、大家さんに聞きにいった。
玄関から大家さんが出てきたが、なんだか怪訝そうな顔をしていた。

俺「昨日の事何か知ってるんですか?」

大家さん「実はね・・・その人12年前にあなたの部屋で殺された女性なの」

俺「そんな事があったんですか」

と一言いい、俺は部屋に戻った。
かなり怖かったがその日は酒を飲み、酔い潰れて寝てしまった。

次の日、大学の講義は昼からだったから午前中に図書館に行き12年前の新聞を読んだら、確かにその事件は大家さんの言った通り、アパートで女性が殺されていた。
その事件の内容はかなり悲惨で、全身100ヶ所以上を包丁でメッタ刺しにされた事件だった。
俺は一週間後くらいにアパートを引っ越した。
こんな不思議な体験もあるんだなぁと思った出来事だった。

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